ここから本文です

保険金を「愛人」に受け取らせることはできるのか

5/6(土) 6:00配信

オトナンサー

 世界的俳優にお笑い芸人、果ては、不倫相手とハワイで「擬似」結婚式まで挙げた国会議員と、近頃も不倫のニュースが世の中をにぎわせています。

 保険の仕事をしていると、不倫相手、つまり「愛人」を保険金受取人として指定したい、という相談を受けることがあります。長い間一緒に過ごした愛人に情が移り、「(自分の死後)あとは勝手に」とは言えないのでしょう。

 本妻との家庭はすでに崩壊しているのに、何らかの事情で離婚できず、普段は愛人と生活しているケースも数多くあり、気持ちの上では、愛人というよりも「夫婦同然」という感じなのでしょう。

 道徳的問題は別にしても、「受取人にしたい」と言われた以上、その方法を考えないといけませんが、これが一筋縄では行かず、私たち保険屋を悩ませるのです。

受取人は「配偶者と2親等以内」

 実は、保険金受取人として指定できるのは原則、「配偶者と2親等以内」というルールがあり、2親等とは実際のところ「妻」「子」「孫」「親」「祖父」「祖母」くらいです。それ以外の者を受取人に指定することを「第三者受取」といい、保険会社は基本的に受け付けてくれませんが、会社によっては例外もあり、3親等である「おい」「めい」「叔父」「叔母」などは、事情書を提出すれば認められる可能性が高くなります。

 また婚約者や内縁関係でも、一定の条件をクリアすれば受取人として受理する保険会社もあります。その条件とは、双方が独身であり、結婚式の案内や同居を表す双方の住民票などの「証拠」を提出することです。

 しかし愛人の場合は、一方、または双方が既婚であるため、愛人を受取人とすることは極めて難しいのですが、一つだけ方法があります。それは、正式な遺言書に保険金の受取人として、愛人を指定することです。

保険法は民間のルールよりも上位

 これまで述べてきた受取人のルールは、あくまで保険会社が定めたもの。これとは別に、保険法44条に、「遺言書にて受取人を指定することが出来る」と定義されているのです。当然、民間企業である保険会社のルールよりも、法律である保険法が優先されます。

 このことは、保険会社も重々承知していますが、保険金目当ての殺人などを防ぐために、各社が独自のルールを設けているのです。

 しかし、遺言書に受取人を指定した場合、さまざまな問題を引き起こすことが予想されます。その典型が、保険会社の書類上の受取人(たとえば本妻)と、遺言書上の受取人(愛人)の「二人の受取人」がいる場合です。

 こうしたケースで当人が死亡した場合、保険会社がどちらに支払うのかといえば、正解は「早い者順」です。本妻が先に請求すれば、契約上の受取人であることから、当然ながら支払います。そもそも、保険会社は遺言書の受取人を認識していません。逆に愛人が遺言書を持ってきたら、その遺言書の正当性が立証されれば支払うでしょう。

 いずれにせよ、後から来た請求者には「すでに支払ったので当事者同士で話し合ってください」としか言えません。「本妻が保険金を受け取った後に愛人が現れ、遺言書をタテに巨額の保険金を持っていく」、または「本妻が請求した時には、すでに保険金は持ち去られた後」――。その時の本妻の怒りは想像するに余りありますが、これは実際に起こりうることなのです。

1/2ページ

最終更新:5/6(土) 7:03
オトナンサー

記事提供社からのご案内(外部サイト)

オトナンサー

株式会社メディア・ヴァーグ

日々報じられるニュースの中から気になる話題をピックアップし、掘り下げた記事や、暮らしに役立つ基礎知識などをお届けします。

Yahoo!ニュースからのお知らせ