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揺らぐグーグル広告の信頼性:掲載基準を巡る広告主の離反

5/6(土) 17:50配信

WIRED.jp

女性が自らの性的虐待体験について語る動画を配信するYouTubeチャンネル「Real Women Real Stories」は、ある日突然グーグルから広告の掲載を拒否された。グーグルは価値のあるコンテンツを犠牲にし、広告主のブランドを傷つけうる「不透明な広告の掲載基準」を、いまこそ見直す必要に迫られている。

【揺らぐグーグル広告の信頼性】

イスラエルに本拠を置く起業家マタン・ウジエルは2016年後半、これまで見たことのない通知がYouTubeのバックエンド(クリエイターが動画をアップロードする場所)に表示されるのを目にした。「黄色いドルの記号が見えたのですが、最初はそれが何なのかわかりませんでした」とウジエルは言う。「わたしはその上にカーソルを動かし、自分の動画が広告に適さない、という意味だとわかったのです」

それまでにウジエルは、10本以上のヴィデオを作成し、「Real Women Real Stories」と呼ばれるYouTubeチャンネルに投稿していた。女性が自らの性的虐待の体験について、率直にカメラに向かって話すというチャンネルだ。

いくつかの動画の視聴回数は数千に上り、YouTubeの広告プログラムを通じて配信されるプレロール広告(動画本編の再生前に表示されるヴィデオ広告)も流せるようになった。ウジエルとチームにはいくらかのお金が入った。しかしいま、グーグルは彼らの動画の配信を停止しようとしていた。グーグルは彼の最新のヴィデオに広告を載せようとせず、最終的にはすべてのヴィデオに広告を載せることができなくなるだろう。問題はヴィデオの「デリケートな性質」だと、彼は言われた。

あいまいな巨人

ウジエルはグーグルに問題解決を求めたが、同社はそれを拒否した。グーグルの代理人はメールで、動画のタイトルが自動的にサイトのフィルターに反応している可能性があるとウジエルに伝えた。しかしウジエルは、なぜ彼の動画に広告がつけられなくなったのか、十分な説明は受けていないと言う。

同様の混乱が、グーグルの最近の広告にまつわる失敗の中心にある。大手広告主は2017年3月中旬、過激派の動画にバナー広告が掲載されたことで、YouTubeに広告を載せるのをやめた。広告主は英国政府からAT&Tに至るまで多岐にわたる。

グーグルは謝罪したが、まだ根本的な透明性の問題を抱えている。グーグルによると、差別的な発言や虐待を映すコンテンツをアップロードする人々が、報酬を受け取らないようにしたいのだという。しかしウジエルの経験が示すように、それによって価値のあるコンテンツが犠牲になっている可能性があるのだ。グーグルが何を基準とし、どんな取り組みを実践しているのかに関する不透明さは、YouTubeというインターネットで最も人気のあるサーヴィスのひとつに不安定さをもたらしている。

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最終更新:5/6(土) 17:50
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