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村上春樹さんは2時間のトークイベントで何を語ったのか?【WEBメディア単独取材ロングver.】

5/6(土) 12:00配信

ダ・ヴィンチニュース

 4月27日、新宿サザンシアターにて村上春樹さん13年ぶりとなるトークイベントが開催された。長編新作『騎士団長殺し』の発売から約2ケ月が経ち、村上さんはどんな面持ちで何を語るのか。460人の定員に対し応募倍率15倍という競争率の中、幸運にもチケットを手にした春樹ファンたちが会場に集まった。

 19時、いよいよ村上さんの登場だ。洒落たピンクのパンツにTシャツ、その上にシャツを羽織ったラフなスタイルでその姿を現した。会場は待っていましたと言わんばかりの拍手と高揚した空気に包まれた。

「こんばんは、村上春樹です。龍じゃないほうの村上です」

 という村上さんの第一声から、温かな雰囲気の中、トークイベントは始まった。

 “世界の春樹”ともなると、講演の依頼も多い。だが、「文章を書くことを生業にしているので人前には出ない」というスタンスを貫く村上さんは、「最近は人間が丸くなったのか、たまにはこういうことをする」と心境をもらした。

このイベントは、70余点の訳書をまとめた『村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事』の出版もと、中央公論新社からの依頼に村上さんが「おもしろいね、やろうかとつい明るく答えてしまった」ことで開催が決定。「小説について話すのは気恥ずかしいけど、翻訳は他人が書いたものだからわりに気楽」という村上さん。この日は、小説家・村上春樹ではなく、翻訳家・村上春樹として「翻訳について」を語り、自ら手掛けた訳書から厳選した「翻訳作品朗読」、翻訳家・柴田元幸さんを迎えての「二人の翻訳講座」に「翻訳講義」という4部構成で2時間たっぷり行われた。

iPodは5台所有。“マメ”な村上さん

 イベント開始前、会場内に流れていた爽やかなBGMは、村上さんのランニング用iPodをシャッフルしたものだった。なんとも嬉しい演出である。「リズムのいい走りやすい音楽」を聴きながらランニングするという村上さんが所有するiPodはなんと全部で5台。2台はランニング用、1台は自宅(神奈川)と仕事場(都内)を行き来する際のドライブ用、1台はJAZZ専用、1台はクラシックが大半の飛行機用だそう。

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