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香川、ビッグゲームでの先発に縁がない理由とは。チーム事情への理解と葛藤

5/7(日) 11:43配信

フットボールチャンネル

 ボルシア・ドルトムントは現地時間6日、ホームでホッフェンハイムと対戦して2-1の勝利を収めた。3位以内での来季チャンピオンズリーグ本戦出場に向けて大きな一勝となったが、香川真司は先発を外れ、終盤に交代で送り出されることになった。(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)

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●上位争い直接対決で先発逃す

 なかなかビッグマッチに縁が無い。2017年5月6日のブンデスリーガ第32節、ボルシア・ドルトムントはホームにTSGホッフェンハイムを迎えた。4位と3位の直接対決だ。今シーズン最後のビッグゲームとも言える試合で、しかし香川真司は、ベンチスタートとなった。

 来季チャンピオンズリーグ(CL)の本戦出場権も掛かったゲームで、トーマス・トゥヘル監督が選択した布陣は[3-5-2]。最後方はシュメルツァー、ソクラティス、ギンターの3バック。ゲレイロとピシュチェクのウイングバック。中盤はカストロとバイグルのダブルボランチに、トップ下がデンベレ。そしてロイスとオーバメヤンの2トップだ。

 守備時にデンベレはルディをぴったりとマークした。19歳のアタッカーは、トゥヘルの忠実な猟犬となり、敵の戦術の肝に食い付いて離れない。ホッフェンハイムは3バックの真ん中のフォクトと、ワンボランチのルディによるビルドアップを特徴とする。フォクトはロイスとオーバメヤンが緩やかにケアしながら、ルディはデンベレがマンツーマンで張り付いた。

 ドルトムントは相手のDFラインを同数でハメていくのではなく、後方に人数を残して数的優位を確保しながら、しっかりとした守備網を構築した。やや引き気味のカウンター型だ。ボールを奪えば即座にオーバメヤン、ロイス、デンベレはトップスピードに乗って、飢えた野獣のように駆け出した。

●ベンチスタートは戦術的選択によるもの

 なぜ対ホッフェンハイム戦でのトップ下は、香川ではなくデンベレが先発したのだろうか。単純にルディをマークするだけであれば、香川も十分にこなせる守備のタスクだ。それは80分にデンベレに代わって投入される際に、香川がトゥヘルから「ルディのワンボランチのところをしっかりマンマーク気味に付いて」という指示を与えられていたことからも伺える。もちろん香川がデンベレに比べてモチベーションが低く、目の前の試合に飢えていないから、ということはない。結局のところ、ホームにRBライプツィヒを迎えた試合と同様に、カウンター時のスピードという点で、若きフランス人FWがチョイスされたことになる。

 それは2人の選手間における優劣の問題というよりは、特定の戦術を選択する上でのタイプの違いということだ。なのでこのホッフェンハイム戦で先発ではなかったからといって、決して悲嘆に暮れる必要はない。香川も「あの3人はやっぱりこのチームの一番の強み」と認識している。試合中に「受け入れている自分がダメなのかな」と多少の葛藤はあれど、「しようがないと言わざるを得ない」のだという。

 そもそもドルトムントはCLも並行して過密日程を戦うチーム。選手の状態やチーム戦術を考慮しながら、ローテーションを組むことは当然だ。オーバメヤンやロイス、バイグルといった絶対的主軸、またCBソクラティスやGKビュルキといったDF陣以外の選手は、香川に限らず、先発とベンチを行ったり来たりしている。

 もっとも「今の現状はそれを受け入れなきゃいけないところもある」としつつ、香川が“特定の試合”でベンチスタートとなることに、何も感じていないわけではない。今季を振り返れば、自身のコンディションの状態やチーム戦術の影響があったとは言え、ビッグマッチでなかなか出場機会を得ることができなかった。前述のRBライプツィヒ戦、ポカール準決勝のバイエルン戦、CLのレアル・マドリード戦…いわゆる“大一番”にあまり縁がなかった。

「今季というよりも、去年もそうですけど、そこはすごく1つ悔しさはありますしね、まあまたポカールの決勝は最後にあるので、そういうビッグゲームで今シーズンをいい形で終えることができるように、頑張って、準備して、アピールしていきたいなと思います」

●「簡単にベンチに座るつもりはない」

 重要な試合でベンチスタートとなってしまうことには、サッカー選手として「悔しさ」を覚える。そしてチームの強みなどを理解しつつも、現況に甘んじるつもりはない。

「こればっかりは受け入れ続けていてはいけないと思っている。この状況を覆すという強い意志であったり、信念は必要になってくると思っているので、シーズン終盤でどうしても練習も気持ち的に難しさは少なからずあるんですけど、ただ、改めてもう1回ポカールの決勝に向けてその難しさをどう変えていくかっていうのは、すごく大事だと思っている。そういうところは個人としてしっかりやっていきたいと思います」

 香川が全く「ビッグゲーム」に縁がないわけではない。CL準々決勝モナコとの1stレグでは、チームバスが狙われた爆発事件の翌日という難しい状況にもかかわらず先発を飾り、1ゴール1アシストと獅子奮迅の結果を残した。

 トゥヘルも見ているのだ。今季最後の3週間で、再び調子の波を整えれば、ポカール決勝という大舞台での先発も見えてくるはずだ。

 ラスト10分間の出場に止まり、2-1と勝利したホッフェンハイム戦の後で、香川は「簡単にベンチに座るつもりはない」と語気を強めた。

(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)

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