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美女が脱ぎ捨てたプライド。港区究極の“劇場型レストラン”で迎えた、意外な恋の結末

5/7(日) 5:20配信

東京カレンダー

男性から食事に誘われたら、ひな子は必ずこう答える。

「メニューによります

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多くの男たちから言い寄られながらも、ひな子が恋人を作らないのには理由がある。

それは、それなりに好条件の男たちが多すぎて、とても1人には絞れないからだ。

職業も年齢も様々な彼らは、食や会話のセンスも、それぞれ違った面白さや刺激がある。

好奇心旺盛なひな子にとって、恋人を作るのは世界を狭めてしまうようにも思えたし、どうせそのうち「結婚」というものをするのだから、それまでは自由の身でいたい気持ちも強かった。

基本的に、1人の男を独占したいとか、濃密な愛を育みたいとか、そういった「恋愛欲」が薄いタイプなのだ。

「ひな子は自分が好きすぎて、男をどうやって好きになるのか、分からないのよ」

親友の慶子には、よくそんな風にからかわれたが、これは意外にも的を射ていたのかも知れない。

賢い女は、戦略的に男を選ぶものと思っていた

「“最後の女性になってください”なんて、それプロポーズじゃない!久保さんにそんなセリフ言わせるなんて、さすがひな子!で、付き合うの?!」

『虎峰』での久保の告白を報告すると、慶子は興奮して目を輝かせた。

「......いや......」

「え...?まさか断ったの...?いつも姫だの殿だの、あんなにイチャついてるのに?」

「あれはふざけてるだけで......別に、好きとかじゃないのよ」

『カフェコムサ 銀座店』のフルーツたっぷりの贅沢なケーキに視線を落としながら、ひな子は渋々と答える。

「......信じられない。あの久保さんの一世一代の告白を断るなんて...」

慶子がハニワのような顔で呆然とする傍らで、ひな子自身も苦々しい気持ちを隠せなかった。

―やっぱり、もったいないことしたのかな...。

女とは、賢くあるべきだと思っていた。

要領よく人生を楽しむためには、好条件で理解のある男の存在は不可欠だ。もっと冷静に、戦略的に判断を下すべきだったのかも知れない。

―姫には、心に決めた男性がいるんですか。

ひな子が久保の申し出を断ったとき、彼は華麗なほど潔く引き下がった。その問いに思わず「はい」と答えてしまったのは、彼の意外に誠実な一面に感化されたのかも知れない。

「ねぇ、慶子。裕太くんと一緒に会ってくれない?」

ひな子は勇気を振り絞り、慶子にお願いする。女にとって、気になる男に対する女友達の評価はかなり重要だ。

いつまでも裕太へのモヤモヤとした感情を抱えるなら、思い切って慶子を会わせてしまうのが手っ取り早い気がしたのだ。

「なんで、そこで若者が出てくるの?ただのグルメ友達って言ってたじゃない」

「お願い......。会って、意見聞かせてよ。ちょうど面白いお店に誘われてるの。広尾の劇場型レストランよ」

「......もしかして、『81』?」

「そう!慶子も行きたいでしょ?」

慶子は拗ねたようにしばらく黙っていたが、最後には「まぁ、『81』ならいいわ」と、素っ気なく承諾してくれた。



『81』とは、港区を代表すると言っても過言でない、究極の劇場型個性派レストランだ。

予約が困難なことでも有名だが、裕太はなぜだかこのハードルの高い店の常連らしく、定期的に何席も予約を押さえているからとひな子を誘ってくれたのだ。

「20代で『81』の常連って、一体何者なのよ」

「裕太くんは、ミーハーじゃなくて本当にグルメで、いろんなコネがあるみたい...」

ひな子と慶子がウェイティングスペースのソファで寛いでいると、裕太が現れた。シンプルなトレーナーにジーンズという恰好は、若々しいというより、まるで中学生のようだ。

慶子が睨むようにジロジロと裕太を無遠慮に観察するのを、ひな子は必死に制した。

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