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5月のFOMC-Slowing to be transitory

5/8(月) 8:47配信

NRI研究員の時事解説

はじめに

イエレン議長は、すべてのFOMC会合が「Live」であることをかねて強調しているが、年間に2~3回といった緩やかな利上げを想定している以上、今回のように記者会見のないFOMCでの利上げは、そもそも予想されていなかった訳である。

その上で、今回の声明文は、FOMCにおける議論の焦点の少なくとも一つが、足許の景気指標にやや弱いものが散見される点をどう評価し、どう説明するかということであった点を示唆している。この点を中心に6月会合に向けた展望を含めて検討したい。

経済情勢の判断

今回の声明文のうち、経済情勢の判断を示す部分(第1パラグラフ)の内容を前回(3月)と対比すると、足許の経済指標の動きを反映する形で、相応に多くの箇所で修正が加えられていることが注目される。

まず、雇用の増加は「強い(solid)」との評価を維持したが、ペースが落ちた月もあったことを反映して「平均的には(on average)」との注釈が加わった。また、家計の消費支出も「緩やかな増加を継続(continued to rise moderately)から「ささやかな増加に過ぎなかった(rose only modestly)」に引き下げられた。これに対し、設備投資だけは、「幾分堅調になった(firmed somewhat)」から、単純に「堅調になった(firmed)」へ若干上方修正された。

これらの主要な需要項目の中では、市場が注目していた通り、家計の消費支出の評価が最も重要な論点であったことが推察される。言うまでもなく、家計消費はこの間の景気拡大の最大の牽引車であった一方、消費の中でウエイトの高い自動車販売に明確な減速がみられるなど、変化の兆しも窺われるからである。

この点に関して、今回の声明文は、上記のように足許で軟化していることを認めつつも、継続的な拡大の背景にあるファンダメンタルズには変化がないとの判断を加えている(the fundamentals underpinning the continued growth of consumption remained solid)。おそらく、こうした判断は、賃金の上昇が継続しつつ産業面で広がりを持ちつつあることや、雇用の改善も続いていること、純資産も高水準にあること、といった点を根拠にしているものであろう。

しかも、政策判断により直接に関係するデュアルマンデートの両項目についても、これまでの基調的判断を維持した。つまり、労働市場は「経済活動の拡大が減速したにも拘らず」タイト化を続けていることを指摘した。インフレに関しても、総合インフレ率の前年比が、「目標に近づきつつある(moving close to)」から「近い水準で推移している(running close to)」へ表現は変わったが、目標近辺にあるとの評価を維持した訳である。

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