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富士そば、カフェ・ベローチェ、ルノアール~栄枯盛衰の飲食店、その立地戦略とは

5/8(月) 21:10配信

PHP Online 衆知

どうしてここに? 富士そばとカフェ・ベローチェの絶妙立地

都内を中心に113店舗を展開している「名代 富士そば」は、低価格のそばをメインに丼物も扱っていて、スピーディーに提供されるのがウリのお店です。1人でサッと食事を済ませたいときにぴったりで、創業者・会長の丹道夫氏のこだわりで、店内では演歌が必ず流れています。
個人的な印象ですが、富士そばは、「すごくいい立地」にあるわけではありません。人通りの多い立地にしっかり出店しているな、という印象ではないのです。
が、「困ったときに富士そばがある!」と感じます。たとえば初めてやって来たような場所で、「このあたりは食べ物屋はないようだ。昼飯は諦めるか……」と途方に暮れて覚悟を決めたそのとき、富士そばがあった、という感じです。
飲食店が軒を連ねるような商店街にあるというよりは、その商店街を通り抜けてすぐに曲がった道や、商店街なかほどから1本横の路地に入ったところ、あるいは地下鉄を降りてお店もまばらな土地で、もう少しで住宅街に入りそうな一歩手前の交差点……そういった「この店しかなければ、ここで食べるだろう」という場所にひっそりとお店があるイメージなのです。
味で本格そば屋と勝負する店ではありません。普通のおそばを、スピーディーに出す富士そばです。
富士そばは、創業者で会長の丹氏が出店場所を決めていると聞きます。丹氏は富士そばを創業する前は不動産会社で成功した方で、物件については一家言あるのだそうです。
そんな不動産に詳しい創業者が見つけてくる物件です。いうなれば、「お客様が『助かった!』『富士そばがあってよかった!』と思える場所」にしっかり出店している。絶妙の立地戦略を感じます。
同じように、不思議な場所にあって重宝するのが「カフェ・ベローチェ」です。ベローチェは「コーヒーハウス・シャノアール」の別業態で、都内を中心に174店舗あります。ブレンドコーヒーが1杯200円と手頃な価格で、ちょっとした休憩にはピッタリです。
コーヒーチェーンのドトールコーヒーなどは、駅を降りてすぐのところ、駅前からわかりやすい場所に出店していることが多いです。駅の近くで時間を潰そうとしたり、駅周辺で待ち合わせをするとき、ぱっと目に入って便利な場所です。
一方で、ベローチェは駅の真正面にある、というわけではありません。駅から近いことは近いのですが、1本横道に逸れたところや大通りに面している店舗の裏側など、王道とは少し外れたところにあります。
しかし、その周辺に住んでいる人、その周辺で働いている人たちはベローチェがそこにあることを知っていて、利用者が多くいます。ベローチェのホームページには、「お客様が毎日気軽に利用できるよう、分かりやすく、立ち寄りやすい場所に立地しています」と書かれていますが、これは「その場所を毎日訪れるような人が、覚えやすく、使いやすい場所にある」ということではないでしょうか。
王道からすれば少しわかりにくい場所ということもあり、おそらく賃料もそんなに高くはないはず。その代わり、1店舗の面積は広めのところが多いです。駅の目の前ではなく、気づかない人もいるので、たいてい座れる印象です。駅前に行列をつくっているようなカフェとは違い、ゆったり過ごすにはもってこいのカフェなのです。
富士そばやベローチェは、「ここに出店するなんて、わかってるな!」とお客様に一目置かれるような場所に出店できれば、経営はしっかり成り立つという好例でしょう。都内で飲食店に困ったときは、付近に富士そばやベローチェがないか探してみてください。

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最終更新:5/8(月) 21:10
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