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楠木建が考える、早寝早起き早帰りの効用

5/9(火) 7:00配信

文春オンライン

早寝早起き早帰り

 あくまでも個人的な好き嫌いの話として聞いていただきたい。

 夜が嫌いで朝が好き。これはもうはっきりしている。朝は早く起きるに限る。早起きして、小一時間ぐらい家でゆっくりした後、営業車を駆って仕事場に入ってもまだ7時、というのが理想だ。

 で、遅くとも午後4時、できれば3時半、強気のときは3時までには仕事場を上がる。帰宅途中にジムに寄ってフルコースでトレーニングしても、日のあるうちに帰宅。で、食事をしたら本を読むなり映画を観るなりして、夜は早く寝るのに限る。

 もちろんこれは理想である。いろいろ事情もある。このリズムを毎日キープするのはさすがに難しいが、なるべくこれに近づけるようにしている。

 大敵は会食その他の夜の仕事上の予定である。会食の効用は否定しない。否定しないどころか、十分に意味や意義があると思う。だとしても、夜である必然性はない。できたら朝食、それが無理なら昼食にしたい。朝や昼なら終わりの時間が決まっている。ズルズルと長引くこともない。

 仕事抜きの友人とのゆっくりした夜の食事であれば、ひたすらリラックスして楽しめる。これはこれでイイのだが、夜が遅くなることには変わりはない。幸か不幸か、飲酒ができず、打ち解けて話をする友達も少ないので、こういう機会はあまりない。で、早く家に帰る。で、早く寝る。

アタマのコンディショニング

 なぜ早寝早起き早帰りが好きなのか。その理由は僕の仕事にある。時間的な自由度がまあまあ高いということもあるが、それ以上に、アタマがきちんと回ってくれないと仕事にならないからである。

 アタマを回して何ごとかを考える。で、その考えごとを話したり書いたりしてお得意さまに提供する。これ(だけ)が僕の仕事だ。アタマのコンディションが生命線。野球の投手がいつも肩のコンディションを気にかけるのと同じである。

 ただし、投手が肩を整えるのであれば、入念にストレッチをするとか、投げた後に肩を冷やすとか、マッサージを欠かさないとか、寝るときの姿勢や寝具に気をつけるとか(よく知らないので勝手な推測で言っている)、具体的にやるべきこと、やるべきでないことのリストができる。

 ところが、僕の仕事の場合、なにしろアタマ(の中の作動メカニズム)という自分でみたこともなければ触ったこともないものが相手である。どうすればアタマのコンディショニングができるのか、具体的な手立てが判然としない。自分なりに経験からさまざまな仮説を引き出してみたが、ほとんどが頭の調子とは有意な関係はなかった。ほとんどの仮説が棄却されるなかで、行き当たったのが、夜に考えごとはしない、という原則である。

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