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日本の漢方薬 「PM2.5に効く」と中国人観光客の間でブーム

5/10(水) 11:00配信

NEWS ポストセブン

 中国の伝統医学は1500年前に日本に伝来してきた。その本場をも覆す現象が、「爆買い」中国人観光客を通して巻き起こっている。フリーライターの清水典之氏がレポートする。

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 ひと頃の勢いはなくなったとはいえ、いまも銀座や秋葉原では買い物をする多くの中国人観光客の姿を見かける。今、彼らの間でブームになっているのが、「日本の漢方薬」だ。

 なかでも、〈長年悩まされてきた問題が日本によって解決された〉と中国メディアが賛辞を贈っていて中国人がこぞって買っているのが、「タバコや排気ガスなどによる気管支の炎症を改善」「せき・たんをやわらげる」作用を持つ漢方薬、小林製薬『清肺湯ダスモック』だ。

 桔梗や陳皮など16種類の生薬が含まれ、「有効成分がなるべく多く抽出できるように、エキス製造工程を工夫しました」(公式HPより)という。

 なぜ中国でダスモックが注目されているのか。別の中国メディアが「日本の漢方薬がPM2.5対策になる!? 中国人の新たな爆買い対象に」と紹介しているように、大気汚染による健康被害が深刻な問題となっている中国で、新たな救世主として扱われているのが理由だ。小林製薬はダスモックの効能に「PM2.5に効く」とは一切謳っていないが……。

 本当にそんなに売れているのか。新宿と上野のドラッグストア前で、中国人観光客に話を聞いた。

「中国にも『PM2.5に効く』という中医薬(漢方薬)がありますが、効果のほどはよくわかりません。でも、『ダスモックは効く』とよく聞いていて、友人や親戚からお土産に頼まれました」(上海市の40代男性)

「ダスモックがPM2.5に効く」というのはどこで得た情報かを聞いてみると、ネットメディアやSNSで“神薬”として紹介されていたからだと皆が口をそろえる。

「ダスモックはすごく売れていますね。今では月に100個以上は売れます。以前は(大気汚染が深刻な)北京から来た人が買っていくケースが多かったですが、いまは地域に関係なく買っていかれます」(新宿のドラッグストア店員)

 この店では店頭に、中国語で大気汚染対策を謳ったポップとともにダスモックが陳列されていた。小林製薬も、効能を謳っていない「PM2.5」を理由に売れていることに驚きを隠さない。

「『ダスモック』がインバウンド需要で売れているという話は把握しています。2015年頃から売り上げが伸び、2016年の前年比売り上げは約140%になりました」(同社広報総務部)

【PROFILE】しみず・のりゆき/1966年愛知県生まれ。大阪大学工学部造船学科卒業。1991年よりフリーランス。著書に『「脱・石油社会」日本は逆襲する』(光文社)がある。

※SAPIO2017年6月号