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これから採用はどうなるのか? どう変えればいいのか?―― 採用活動の新たな指針「採用学」の視点から考える~神戸大金井氏×横浜国立大服部氏<日本の人事部「HRC2016-秋-」>

5/10(水) 7:30配信

日本の人事部

新卒採用のスケジュール変更が毎年のように行われ、独自の採用手法を打ち出す企業が増えるなど、近年は新卒採用に関するニュースがたびたび聞かれるようになった。果たして、これからの採用はどうなるのか。自社に合う人材と出会うにはどのような採用活動を行うべきなのか。「採用学」を提唱する横浜国立大学大学院准教授の服部泰宏氏と、神戸大学大学院教授の金井壽宏氏が、採用活動の現状と方向性についてディスカッションを行った。

服部氏によるプレゼンテーション:採用の革新を捉える/実証データに基づく考察

服部氏はまず、日本企業のこれまでの新卒採用スタンスについて語った。一般的に日本企業の新卒採用活動では、最初は曖昧だがポジティブな情報・魅力的なイメージを学生に伝え、応募を集める手法が中心。それに対し、アンチテーゼとしてWanous氏と金井壽宏氏が採用の新パラダイムを示している。

「リアリスティック リクルートメント(Realistic Recruitment)という考え方で、リアリティーの高い情報を伝えるものです。仕事や会社について、良いイメージだけでなく悪いイメージも事前に伝えておけば、入社前の過剰な期待を抑制し、現実的な期待を持った人を集めます。その結果、よい採用につながるというものです」

ここ数年は企業で新たな採用に関する動きが見られるが、服部氏は五つのパターンに分かれると言う。

「一つ目は、エントリー要件の引き上げです。自社に本気で入りたい人に絞っています。二つ目は、多様な入り口の設定。例えば、文系の営業職の採用に五つもの入り口を設け、まったく異なる選考をする企業があります。三つ目は、採用のタイミングの変更です。優秀ならば大学1年生、2年生にも内定を出す企業もあります。四つ目は採用のエンターテインメント化。例えば面接をやめて、ゲームそのもので選考したり、脱出ゲームをやらせて、そこでの振る舞いや人間関係を人事が見たりします。そして、五つ目は「脱○○○○」という動きです。例えば、面接やめました、エントリーシートをやめました、ペーパーをやめて動画を募集しますなど、一般的な採用ツールをやめたり、変更したりする動きが目立ちます」

もちろん、これらはまだ一部であり、多数ではない。しかし、気になるのはこのような採用イノベーションが発生する理由だ。どのような条件が整えば、このような革新が起こるのか。

「統計からわかった一つ目の条件は、採用担当者に裁量権が与えられていることです。募集する人材像や人材要件には曖昧なものが多いのですが、どういう人を採りたいか、そのためにはどんなデバイスが正しいかなど、そこで意見できる裁量権があることがポイントになります」

もう一つの要件は、採用担当者が社内でどんな情報源を持っているか。例えば、1年当たりの社内での研修や勉強会への参加回数は、革新のしやすさに影響している。

「この数字は、社内の人に会って、どれだけネットワークを築けているかということを意味します。この質問と同時に、人事にどんな基準で採用を手助けしてくれる人を選んでいるかを聞いたのですが、断トツ1位は『頼みやすい人』でした。意外にも『現場のエース』や『現場で輝いている人』は下位です。それよりも、同期の人や自分と関わりが深い人などに人脈があり、その人たちに採用の手助けをお願いできる人ほど、革新的なことにトライしています」

これとは逆に、革新を起こさない傾向を呼ぶ要因も見つかっている。それは1ヵ月当たりの上司との相談回数が多い人だ。要するに、何でも細かく上司のチェックが入ったり、上司が新しいアイデアに消極的だったりすると、その採用担当者は革新を生まなくなる。このように採用の研究はまだ始まって間がないだけに、さまざまな発見があるのだ。

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最終更新:5/10(水) 7:30
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