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【CL勝負を分けたワンプレー】禍を転じて福と為す。アレグリ采配が呼んだ先制点

5/10(水) 20:04配信

footballista

スカパー!× footballista ピックアップレビュー

UEFAチャンピオンズリーグ全試合を放送する『スカパー!』と『footballista』がコラボレーション。注目カードの勝敗を分けたポイントを、『footballista』執筆陣が詳細に分析する。


UEFAチャンピオンズリーグ/準決勝 第2レグ
ユベントス 2-1(2戦合計4-1) モナコ


 前半終了時点で2-0(2試合合計4-0)というスコアだけを見れば、第1レグ同様ユベントスにとっては楽な試合だったように思えるかもしれない。しかし33分の先制ゴールで流れを手元に引き寄せるまでは、まったく異なる水路に試合が流れ込む可能性も十分にあった。

 立ち上がりの10分間は、アグレッシブなハイプレスに出てきたモナコのペースだった。

 ジャルディン監督は、ユベントスの3トップと3対3の数的均衡になるリスクを承知で、最終ラインを右からラッジ、グリク、ジェメルソンの3バックとし、中盤に人数をかけて2トップの下にベルナルド・シルバを置く[3-4-1-2]の陣形を選んだ。

 一方のユベントスは、第1レグ同様バルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニの3バックを基本に、状況に応じてダニエウ・アウベス、アレックス・サンドロが最終ラインに加わる可変最終ラインでこれに応じる。

 しかし左右のウイングバックがシディベ、バンジャマン・メンディとマッチアップする形になったため、中盤センターではピャニッチ、ケディラの2人がバカヨコ、ジョアン・モウティーニョ、B.シルバの3人に対して数的不利の状況に置かれてしまった。

 最終ラインからのビルドアップでは、モナコの厳しいプレスの前に出しどころがなくなって自陣からボールを持ち出す前に引っかかり、そこから攻め込まれたクロスや縦パスをはね返しても、中盤で数的優位に立った相手がセカンドボールを拾って再び攻め直してくる。

 最もひやっとしたのは、5分にムバッペが左サイドを抜け出してブッフォンと1対1になり、ファーポストにシュートが嫌われた場面。結果的にはオフサイドだったのでたとえ入っていたところで得点は無効だったが、もしほんの少しのタイミングの違いでこの場面から先制を許していたら、そこから先はまったく別の試合になっていたはずだ。

 ユベントスが初めて相手のプレスをかわし敵陣深くまでボールを持ち込んだのは8分。自陣からケディラが目の前にスペースを見つけてドリブルで持ち上がり、敵中盤ラインの後ろまで攻め込んだ。

 ところがこのプレーで敵と交錯したケディラが、左のハムストリングを傷めて途中交代を強いられてしまう。しかし、これを「禍(わざわい)を転じて福と為す」機会として活用するのだから、アレグリ監督もしたたかである。

 交代で入ったマルキージオに、ピャニッチと2人でモウティーニョとB.シルバをケアし、モナコの3人のMFの中では最も後ろでプレーするバカヨコはディバラが前線から下がって見るように指示。中盤での数的不利をすんなり解消してしまったのだ。

 同時に攻撃の組み立ても、後方からの繋ぎにこだわらず、前線左サイドに流れたマンジュキッチにボヌッチからロングボールを送り込むパワープレーに切り替える。

 相手の頭上を飛び越えることでハイプレスを無効にし、マンジュキッチ対ラッジのフィジカルバトルに活路を見出そうというだけでなく、コンパクトに押し上げてきていた相手の陣形を間延びさせ、最終ラインと中盤の間に否応なく生まれるスペースでイグアインやディバラがセカンドボールを拾って、そこから一気に攻め込もうという狙いである。

 もちろんこちらの陣形も間延びするのでオープンな乱打戦になる危険もあるが、そこは個のクオリティにおける優位を生かして押し切ってしまえばいい、とにかく一方的に押し込まれた流れを変える必要がある、という判断だったのだろう。

 果たして、ここから試合の流れはユベントスの方へと傾いて行く。

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最終更新:5/10(水) 20:04
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