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日銀の財務悪化への対処法~誰が損失を負担するか

5/10(水) 11:50配信

政治山

日銀の財務はなぜ悪化するか

 (まだかなり先の話になるが、)物価目標の2%が達成されると、日本銀行の財務が悪化し、債務超過に陥るのではないかとの懸念が広がっている。

 ロジックは簡単だ。物価目標が達成されれば、日銀は金融緩和を縮小させ、利上げをする必要がある。本来ならば、大量に保有する国債を市場で売却して金利の引き上げを図るところだが、それでは金融市場が混乱しかねない。

 そこで想定されるのが、米国FRB型の出口戦略だ。

 国債(資産)は満期まで保有し、満期到来の都度、残高を縮小させていく。民間銀行からの当座預金(負債)も、これに見合って緩やかに残高を縮小させる。この間、当座預金への付利水準を引き上げることで、市場金利の引き上げを図ろうというものだ(注1)。

(注1)保有国債の残存期間は平均7年程度。したがって、国債を満期まで保有し、満期到来とともに残高を減らすオペレーションは、ほぼ完了するまでに10年以上を要する計算となる。

 この場合、当座預金への付利は、少なくとも1~2%が必要だろう。物価目標の達成後は、物価上昇率に見合った短期金利が必要となる。

 2017年3月末の日銀のバランスシート(参考)を基に試算すると、当座預金への1~2%の付利は、日銀の利払い額を年間3~6兆円程度増やす計算となる。2年目以降は利払い額が徐々に減るが、それでも多額の利払いが長期間継続する。

 近年の日銀の経常利益は、外国為替関係損益を除き年間約1兆円だった。したがって、物価目標が達成され、当座預金への付利水準が引き上げられると、経常利益は1年目に2~5兆円程度の損失となり、その後も――徐々に損失額を減らしつつも――一定の期間、損失が続く計算となる。

 2016年度上期末の日銀の資本金、準備金の合計は3.2兆円だった。また、引当金勘定は4.5兆円だった(債券取引損失引当金、外国為替等取引損失引当金など)。

 したがって、1年目は資産超過を維持できるにしても、2~3年目以降は債務超過となり、その後数年以上にわたり債務超過が拡大する可能性がある。これが懸念される点である。

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最終更新:5/10(水) 11:50
政治山

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