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注目の“ニューエイジ・ポップ・ユニット” Maison book girl ツアーファイナルレポート

5/10(水) 17:34配信

otoCoto

圧倒的なショウだった。

いや、圧倒的な芸術表現と言うべきか。
今や彼女たちにどのような枕詞を冠すればいいのか分からないが、少なくとも“アイドル“を出自とするグループによる、これほどまでに高い次元の表現を観たのは初めてだ。

現代音楽とポップスの融合を標榜し、その独特の世界観と美意識で大きな注目を集める“ニューエイジ・ポップ・ユニット” Maison book girl(メゾンブックガール。以下「ブクガ」と略)。衝撃作『image』を今春リリースし、同時にスタートした全国ツアーも各地で大盛況。勢いに乗るこの4人組が、5月9日にツアーファイナルとなる公演を赤坂BLITZで行った。

開演前の場内にはミニマルなインストゥルメンタル音楽が流れている。会場の空気にそっと溶け込み、オーディエンスの心模様を真っ白に浄化するかのような心地好い音がその場を満たす。そして、天井から吊り下げられた紗幕に映し出されるのは、刻々と変化していくアブストラクトな映像。それらを何気なく目で追っていると、心の中にある幾重もの扉がひとつずつ開いていき、やがて深層心理へと辿り着くかのような気分になる。まるで静謐な空気の中で五感が研ぎ澄まされていくかのよう。そう。既に“作品“は始まっているのだ。

客電が落ち、スティックの打撃音が鳴り響く。アルバム『image』の冒頭を飾るインストゥルメンタル曲「ending」。これも静謐な音楽なのだが、この鮮烈な打撃音は既に浄化されている聴き手の心には発奮剤のごとく突き刺さってくる。そして、一瞬の無音を経た後、4人のシルエットが紗幕に映し出される。「sin morning」だ。まだ4人は紗幕の向こう側。なかなかその“実体”を表さない。ようやく最後のサビで幕が落ち、強い光の中に4人の姿が浮かび上がる。紗幕に映し出される幻影と多量の光を浴びた実体との落差。眩いばかりの四肢に鮮やかな生命感を感じる。

そして「end of Summer dream」「veranda」。これまでの精巧なモダニズム建築のような構造美に、生命感溢れる躍動が加わったこの新機軸の2曲は、ステージで聴くとまた違った印象だ。漆黒の衣装を身に纏った4人が闇に包まれたステージという深海の中でもがいているかのようなパフォーマンスは、生き生きとした躍動というよりも、あたかも運命に操られ、突き動かされているかのような“不気味さ”を感じさせる。と同時に、そうした運命の呪縛から一瞬の隙をついて解放を掴み取ろうとするかのような“希望”が見出せる瞬間もある。彼女たちは今や、それだけ奥深い感情を捉え、それを鮮やかに表現できるほどのスキルをものにしているのだ。

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最終更新:5/10(水) 17:34
otoCoto