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「森見登美彦先生の変化が一番見られる作品」!? 『有頂天家族2』プロデューサー&P.A.WORKS代表・堀川氏インタビュー

5/10(水) 22:00配信

おたぽる

 森見登美彦原作の同名小説を原作とするTVアニメ『有頂天家族』。第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞するなど、大きな反響を呼んだ2013年のアニメ第1期放送から約4年、ファン待望の第2期が現在絶賛放送中だ。

 第2期『有頂天家族2』では、15年に刊行された『有頂天家族 二代目の帰朝」(幻冬舎)を原作に、現代京都を舞台とした、「狸」、「天狗」、「人間」が繰り広げる、ユニークで家族愛溢れるコメディドラマが描かれる。

 キャスト・スタッフともに前作のメンバーが再集結し、さらに新キャストを迎え、強力な布陣でおくる新作アニメ『有頂天家族2』について、「おたぽる」では、アニメーション制作を手がけるP.A.WORKSの代表取締役であり、アニメのプロデューサーも務める堀川憲司氏に話を伺った。

* * *

―― 原作者・森見登美彦先生のファンは知っていますけど、改めてTVアニメ『有頂天家族』の第2期が、この時期から放送開始になったのかを教えていただけますか?

堀川憲司(以下、堀川) まずTVアニメ第2期の原作となる『有頂天家族 二代目の帰朝』(幻冬社/以下、『二代目の帰朝』)が刊行されたのが15年2月ですから、もう2年程度経っているわけですよね。

―― TVアニメ第1期は13年の7~9月に放送されました。

堀川 本当は先生もTVアニメの1期に合わせて、放送が終わるころに『二代目の帰朝』を出版したかったんだと思うんですよ。その方が注目度も高いですし。でもそこで……先生のブログによると、「別の宇宙に迷いこんでしまったに違いない……宇宙が悪い、宇宙が……」ということで(笑)。

―― その後、文庫本も今年4月5日に発行されましたが、単行本発行から2年ちょっとでTVアニメの放送ですから、むしろ進行は早いですよね。

堀川 『二代目の帰朝』がいつ出るのかわからなかったし、(当時は)続けてアニメ化とか、そんな話もなかったですね。でも刊行されて(献本を)送っていただいて……これをアニメ化するにはハードルが高いだろうなと客観的に思いながら(笑)、読ませてもらいまして。

 しばらくしてから、やっぱりアニメ化したいという気持ちが次第に固まってきて、吉原(正行/TVアニメ監督)に、「アニメ化を考えているんだけどどう?」と聞いてみたところ、「いいよ」ということだったので。

―― 1期の流れから、続刊が出たら2期をと、待ち構えていたわけではないんですね。

堀川 違います。そこから2期をやらしてもらえないでしょうかと、許諾をいただくということを始めました。一つ懸念があったのは、1期は高い評価をいただいたんですが、パッケージビジネス的に厳しかった部分もありまして……。

 果たして、もう一回制作するチャンスをもらえるか? ということです。この作品はどうしてもP.A.WORKSで作りたいと訴えたところ、一緒にやりましょうって言ってくれる人たちが集まって、チャンスをくれたので、ようやくこぎつけたというところですかね。

―― その『二代目の帰朝』の文庫版では堀川さんは解説も書かれていますが、最初に読まれたときの印象を教えてください。

堀川 当時、先生はいくつかの十周年記念作品を全部中断してもがいておられたんですよね。それを自分もブログで読んでいました。それが第一部から七年半を経てついに形になった。まずはファンとして「ああ、長い長いトンネルを抜けたんだ、良かったな」というのが率直な感想ですね。

 作中で「波風立たてるよ」っていうフレーズがあるじゃないですか。ここに、先生ご自身の“小説家としてこれからも自ら荒波に飛び込んで書いていくんだ”という覚悟が込められていると受け取りました。長い間苦悩と向き合って、また覚悟を決めて一歩踏み出した。そんな先生の体験と重ねたくなる2巻だなと。

―― 私も森見先生の作品が好きで、ブログも読ませてもらっていますが、14年前後は更新も少なめでかなり七転八倒されていた印象があります。

堀川 1巻は若さと勢いでグワッと書いたというか、うねる波のような面白さがあったんですが、『二代目の帰朝』では、全然テイストが違いますよね。

 これだけ長期にわたる作品になると、それぞれの巻に、その当時の森見先生の小説家としての考え方が色濃く出ているので、先生を知る上で面白い作品になっていますよね。第三部の完結が先に延びれば延びるほど、今の森見先生とはまた違う作風が味わえるかもしれません。小説家森見先生の変化が、同じ作品の中で、作品の内容にリンクして見られるのが『有頂天家族』だと思います。

『二代目の帰朝』は父親と息子の関係が、一つテーマになっています。父の赤玉先生と確執を抱えている二代目がいる一方で、父親をとても尊敬している下鴨家の兄弟がいる。その中でも矢一郎は、父亡き後自分が家長として下鴨家を背負うためには父の模倣、つまり偽右衛門になるほかないと思っているが、それで家族を救えるのか。一方、天狗の父の生き方を拒絶する二代目は、大人になり切れず弁天をも傷つけてしまう。父親へのアンビバレントな感情を抱きながら大人になる時期の男の子が描かれていますよね。

 また、森見先生のインタビューなどを読んでみても、学生時代に小説家としてやっていけるかと迷っている時期に、とりあえず一回イギリスに行ってみたりと、二代目と重なっている部分があるじゃないですか(笑)。

 少年が自立して、いっぱしの男になる成長譚が『有頂天家族』で描かれている一本のラインだと思います。二代目も矢一郎も森見先生の血を分けた分身なんだろうなと。ですから『有頂天家族』に登場する少年たちが今後もドタバタと人間臭く(?)阿呆な行動を繰り返しながら自立して大人になっていく姿を読みたいと思うし、そこにはやはり森見先生が、小説家として、ひとりの少年として乗り越えてきた奮闘記が色濃く出るんじゃないかなと。

―― 1巻を読み直したんですけど、やはり20代の森見先生と30代半ばに出された2巻での森見先生は大分違うと感じられて非常におもしろかったです。ただ、TVアニメにするぞと、プロデューサーとして読まれていかがでしたか?

堀川 物語後半に大スペクタクルがあって、映像表現の物理的な大変さはこの先どんどんエスカレートしていくんだろうな、これは大変だなと……。更に2巻の巻末に書かれた『第三部予告』を読むと、ムチャクチャ楽しみでもあり、本当に完結するのかこの壮大な物語は(笑)と不安に思わないでもないわけで。

 ただ、TVアニメ第1期があったことで“自分は映像を考えながら小説を書くと、書けなくなってしまった”と、森見先生がインタビューに答えられていて。先生は文章だけで表現するので、映像化しやすい、しづらいということは邪魔になるということなんでしょうが、僕らのような映像で表現する者にはそういう感覚って全くなくて。

 アニメの脚本がそうだと思うんですが、書かれている端から頭の中で映像に変換していく、むしろ映像で表現できるものしか脚本にしない。でも先生は文章のリズムとか、インパクトのある言葉を選択して書かれていくのでしょうから、表現で扱う情報量が大きく違います。そこは監督が頭をひねらなきゃならないところだと思うんです。あるシーンを描く時に矢三郎がタヌキか人間、どっちの姿なのか。映像ではちゃんと決めなきゃいけないけど、小説では読者の解釈に委ねればいい。

 1期で僕らを悩ませた「ゴージャスチキン」も言葉のインパクトに匹敵する面白さを映像で提示する必要があるけれど、映像は明確なイメージを固定させてしまうので、想像する余地を奪うことになる。それが小説の読者にとって良いことかは難しい問題です。

 先生は制作スタッフに完全にゆだねてくださる方で、僕らとしては文章表現から映像表現への挑戦として楽しめる部分でもあるんです。先生からは「こうしてください」と言われることもほとんどないですし……逆に僕らから「これはどういうものでしょうか?」と聞いても笑ってあまり答えてはくれないし(笑)。

―― 任しているから答えないのか、それとも本当に考えてなかったのか(笑)

堀川 考えていないフリはされますね(笑)。「特に意味はないんです」って言いながらゆだねてくださるので。僕はファンだから、そういうところを聞きたくてしょうがないんですが、吉原監督は聞かないんですよ。もうそれは自分の中で解釈ができているんです。

 あるインタビューで森見先生は、そこが監督の非常に好きなところだと仰っていて。監督の、裏では考えぬかれた解釈を表に出さずに作ってくれるところが好きだと言われていて、それは面白いなと。

―― 一流のクリエーター同士ならでは、という感じでかっこいいエピソードです。そういった信頼関係を、アニメ第1期でしっかり作れたということですね。

堀川 そうですね。先生はそれを楽しみにしてくれているし、アフレコにも何回も足を運んでくださって、非常に面白かったと言って下さいます。純粋にアニメとして楽しんでくれているところがあるんだと思います。


■「京都に行って『有頂天家族』の世界に触れよう、あそこに行けば『有頂天家族』に会えるというような浸透の仕方をしてくれるとうれしい」

―― その吉原監督をはじめ、いわゆる主要スタッフさん方は、1期からほぼ変わっていません。1期から引き継いでいるポイント、あるいは1期とでここを意識して変えていますみたいなポイントがありましたら教えてください。

※第1期でシリーズ構成を務めた菅正太郎氏は2015年死去。第2期では檜垣亮氏がシリーズ構成を務める

堀川 意識して変えるところはあまりないです。ないですけど、吉原監督がP.A.WORKS本社(富山県・本社スタジオ)で作画部長を務めていて、長年作画、演出を社内で育ててきましたので、1期の頃よりも社内で作れる比率が上がりましたかね。

 むしろ、何かを変えようというよりも、1期の時もみんなすごく思い入れもあって楽しんで作ったので、もう一度あれができるだろうかって。

―― あの時のテンションでいけるだろうかと。

堀川 そうですね。自分たちで目一杯上げたハードルがありますから。そこを超えることが当然求められちゃいますからね(笑)。

―― 実際、前半戦の手応えや周囲の反応をどう捉えてらっしゃいますか。

堀川 基本的にできてくるものに関しては全く心配してなくて、僕は制作に携わってるというよりも視聴者側の目線で(笑)、またこの世界に帰ってこれたんだなっていうのを毎週実感しています。もちろん森見先生の原作の魅力があってこそですが、久米田(康治)先生のキャラクターデザインや、素晴らしい背景美術も相まって、見ると行きたくなるアートな“京都”の世界感を表せていると思います。

 それと音楽とベテランの声優陣の相乗効果が素晴らしい。さらにmilktubの元気のいいOP主題歌から始まり、EDでfhanaが切なく締めて終わるあの世界に、毎週毎浸れるという喜びがあって。

 実際1、2話が放送された後のネットでの反響を見たんですけど、「空気感がいい」というような感想が多いんです。ファンもこの世界を待ち望んでくれていたんだなと安心しました。このまま最後までいければと思っています。

―― P.A.WORKSさんの作品は、どれも緻密に取材されるという印象があるのですが、やはり2期が始まるにあたっても、相当綿密に取材されたんだろうなと思うんですが。

堀川 それはそうです。新たに出てくる舞台もありますから、南禅寺や清水寺とか。もう何度も訪れてかなり吉原監督も京都通になっていますから、いい取材ができたと思います。

 加えて下鴨四兄弟が京都の観光大使(京都市が定める「京都特別親善大使」に今年1月任命)になったこともあって、1期の時よりもかなり京都や一般の方に注目をされているんですね。スタンプラリー(「京都特別親善大使」任命を機に、「おもしろき古都は、良きことなり」キャンペーンを開催中)もそうですが、宣伝スタッフたちが非常に頑張ってくれていて。

 アニメの放送時期だけでなく長い期間にわたって、京都に行って『有頂天家族』の世界に触れよう、あそこに行けば『有頂天家族』に会えるというような浸透の仕方をしてくれるとうれしいですね。

―― そこもお話を聞きたいなと思っていた一つでして、いろんなコラボ企画が放送前から行われています。製作委員会がプロモーションを頑張った結果なのか、それとも作品として引きが強く、向こうから提案してもらったっていう感じなのか、どっちのケースが多かったんでしょうか?

堀川 今回は弊社が製作委員会の幹事会社ということもあって、宣伝・広報業務に慣れてないスタッフが、とにかく何でもやってみよう、『有頂天家族』を知ってもらおうと、新しい挑戦を頑張ってやってくれていて。

 全然慣れてない僕らが動くなら、ということで委員会のメンバーの方たちも協力してくれて、今までの宣伝活動とは少し違う、新たな試みも非常に多いので、これは今後のP.A.WORKSの活動にも生かすことができる、面白い経験ができているかなと。

 たとえば「有頂天カフェ」も、海外番販を主に担当しているスタッフが、コラボカフェを東京でやったらどうかと提案して、話を進めてくれたんです。

 ちょうど『3月のライオン』のコラボカフェを開催していた、実績のあるところでしたが、実は本の取り次ぎをなさっている会社が運営されているカフェなので、『有頂天家族』とはすごく親和性が高かったです。親善大使の方も京都出身の宣伝担当が京都市さんと頑張ってくれて。

※「有頂天家族カフェ」がマルノウチリーディングスタイル・カフェ(公式サイト)にて開催中

 あと、聞いている話だと下鴨神社さんもがんばってくれてるとか。

奥津(取材に立ち会っていた、P.A.WORKS、総務・奥津氏、以下「奥津」) そうなんです。下鴨神社さんは世界遺産にも登録されている神社ですが、アニメでは史上初のイベント(「有頂天家族2 成功祈願 下鴨神社 糺(ただす)の森 たぬきの集い」今年1月開催)をやらせていただいたんですが、おかげさまで好評をいただいて。

 その反響を下鴨神社さんが喜んでくださって、試しにアニメのグッズも置かせていただいたり――御朱印帳や第1期に弊社で作った和紙で作った招き猫などですが、結構沢山の人が買ってくださっているみたいです。


■「櫻井(孝宏)さんの声を聞くとスッと『有頂天世界』の世界に戻っていける」

―― 空気感が一期から全然変わらないというのはやっぱりキャストさんたちの演技も大きいと思います。新人とか若手の方だと、3、4年も空くと声を忘れちゃうよねと言うことがありますが、主要キャラたちに中堅~ベテランの方が多いからか、安定感がすごいなと。

堀川 そうですね。セリフ量もかなり多い方ですが、アフレコがサクサク進むんですよ。みなさん上手いのでほぼNGがないんですよね。これだけ期間が開いてもスッとキャラクターに戻ってきてくれました。

 なので、アフレコは安心して見ていられますね。森見先生らしいキャラたち、たとえば主人公の矢三郎の根底にある人(?)の良さが、櫻井(孝宏)さんの人柄からも滲み出ているので、彼の声を聞くとスッと安心して『有頂天家族』の世界に入っていける。

 森見先生は画だけではなく声のイメージがついてしまったことで、2巻の執筆は苦労したと仰っていましたけど、アニメから入った後に原作の『有頂天家族』を読んだ人などは、多分キャラたちのセリフがアニメの声で再生されていると思うんですよね。

―― 自分は小説から入った人間ですが、2巻を読んだ際は、もう弁天のセリフは能登麻美子さんの声で再現されていました(笑)。

堀川 僕はそれウェルカムなんですけどね(笑)。僕が過去の映画やドラマのシナリオ集を読むときには、たいてい最初にムービーを見て、その声で再生しながら読んだ方が感情移入やすいですし。小説家と映像作りの人はそこが違うのかもしれないですね。

 アニメ2期から加わった新キャストも同じく安心して見ています。二代目(演:間島淳司)も実にイケメンボイスでして、もうバッチリですよね。

奥津 ただ、間島さんの初回は、なにも盛らないで素の状態で演じてみてください、と音響監督の明田川仁さんから指示を受けていましたよね。

堀川 そうそう、たしか1話のアフレコ時に、感情を入れずに素の声でって何度も言われて。全然かっこいい声でしたが、間島さんが台本を読んで役作りをしてきた二代目のイメージとは違ったのかもしれません。

―― 怪盗キッドみたいなルックスですからね、二代目は(笑)。

奥津 外見だけだと、ちょっとキザっぽいキャラに見えますよね(笑)。

堀川 最初はぐっと抑えて抑えて……最後に爆発しますからね。そういうところがとってもよく出ている演技をしていただていると思いますね。


■「同じ森見ワールドでも湯浅監督と吉原監督とでは、捉え方が全然違う」

―― 現在、劇場アニメ『夜は短し歩けよ乙女』も公開中です。森見作品を意識して2017年に集中したのでは? と深読みをするアニメファンもいるようです。

堀川 いやいや、偶然です(笑)。僕も、『夜は短し歩けよ乙女』が劇場決定というニュースを見てびっくりして。さらに公開が4月7日で、僕らの試写会と被るじゃないか! と思った記憶がありますから(笑)。森見先生はご存知だったかもしれないけど、特にお話されることもなく。

―― 以前から湯浅監督で『夜は短し歩けよ乙女』が映画化されるというお話は、ちょいちょい囁かれていましたよね。

堀川 湯浅監督とは知りませんでしたが、この作品はいつアニメ化されるのだろうと思っていました。ようやく実現するんだと。映画も見てきました。同じ森見ワールドでも湯浅監督と吉原監督とでは、世界観が全然違いましたね。

 お互いの作品を意識するというよりは……僕らが作っている『有頂天家族』に関しては自信があるし。湯浅さんも凄く才能のある監督だから、次に森見作品をアニメ化する時のハードルがどんどん上がっていくな、いいぞ、いいぞと、森見作品ファンの僕は思っています(笑)。

―― 次に来るかもしれない、森見先生作品を原作とするアニメのハードルをお互い上げあってると(笑)。

堀川 やっぱり、みんな比較したくなるじゃないですか。でも、それはそれとして僕も見たいんですよね、森見作品のアニメを。たとえば『ペンギン・ハイウェイ』も、どの監督ならあの世界をアニメ化できるんだろうかと期待しています。いつか見たいなと思いますし。

―― では、森見ワールドを一緒に盛り立てていけばいいなぐらいな感じ?

堀川 うーん、一応ライバルでいたいですね(笑)。ライバルだけど、僕個人は湯浅監督ファンでもあるので、楽しみにして映画館へ行って、楽しんできましたから。やはりね、アニメ業界の監督の中でも予想の斜め上を行く刺激をくれる監督じゃないですか。

―― 湯浅監督の映像だなと、一目でわかる監督さんですよね。

堀川 そういうものを楽しませてもらいましたし。だからライバルとは言いつつ、負けないよとかそういうことではないなぁ。違う方向性のアニメーションでもあるので、お互いの得意な表現で挑戦しあえればいいなあと。

―― 今回はメディアも違いますしね。

堀川 そうですね。実は1期の『有頂天家族』も、映画でと、最初は検討したこともあったんですが、どう構成しても2時間に収めようとすると原作の良いところが損なわれてしまうので、TVシリーズにしたという経緯があるんです。森見先生の作品を、特に『有頂天家族』を1時間半~2時間でまとめることは僕には出来なかったんです。『夜は短し歩けよ乙女』はそれを一回解体して湯浅監督作品として上手く再構成されているなと。劇場作品の尺にまとめるっていうのはこういう大胆なことなんだなって思いました。


■「『有頂天家族』は森見先生の、小説家としての、人としての立ち位置とか考え方にリンクしている作品」

―― これから中盤戦を迎えるアニメ『有頂天家族2』の見どころを、改めて紹介していただけますか?

堀川 これは、文庫本『二代目の帰朝』の解説でも書いたことですが、弁天の扱いが今までと変わってきているので、それが最終的にどう落ち着くのかというところがまず一つ。

『有頂天家族2』にはいろんな見どころがあるんですが、それぞれの見どころが完結巻となる『3』ではどうなるんだろう――と、期待を煽るものになっているんです。いわば完結巻『3』への橋渡しとなっているんですよ『二代目の帰朝』は。だから原作小説の完結巻『3』が楽しみですし、アニメでも続きを僕も見たいし、ファンも見たいと思ってくれていると思います。

 いろんなところで言っているんですけど、『有頂天家族』は、作品としては高い評価をいただいたんですが、それをビジネスにもうまく結び付けないと、「3を作らせてください」って言えるチャンスをいただけませんから。そこは僕らも頑張って、きっと次のチャンスをいただけるような環境を整えて、ちゃんとアニメーションとしても完結させるという夢を実現させたいと考えています。

―― その完結編がいつ出るのかも、それはそれで興味深いところですが(笑)。

堀川 それは、森見先生と、担当編集者の方が苦しみながら頑張っているところだと思いますから(笑)。待つしかないですよね。

 さっきもお話したように『有頂天家族』は森見先生の、小説家としての、少年期から青年期の考え方にリンクしている作品だと思いますから、それを出版するために中途半端なところで形にしましたとなると、それは納得のいくものにはならないと思います。先生自身がもがきながら乗り越えてきた体験がちゃんと物語に反映されているからこそ、より深いところでファンに届くものになるんだと思います。


■TVアニメ『有頂天家族2』

・公式サイト http://uchoten2-anime.com/
・公式ツイッター @Uchoten2_Anime

・放送情報
TOKYO MX    毎週日曜 22時~
KBS京都     毎週月曜 20時~
サガテレビ   毎週水曜 深夜1時55分~
北日本放送   毎週木曜 深夜2時29分~
AT-X      毎週月曜 深夜0時30分~
(リピート放送)毎週水曜 16時30分~/毎週土曜 8時30分~/毎週日曜 7時~

・以下サイトにて配信中
dアニメストア、DMM.com、ニコニコ動画、バンダイチャンネル、アニメ放題、GYAO!、
ひかりTV、ビデオパス、AbemaTV、amazonプライム

・パッケージ情報
Blu-ray BOX 上巻、7月28日(金)発売!
第一話~第六話を収録に加え、映像特典も満載! さらにはドラマCD、カラー48P特製ブックレット、10月15日(日)開催の下鴨四兄弟が勢ぞろいのイベント優先購入抽選券が付いた豪華仕様。

(C)森見登美彦・幻冬舎/『有頂天家族2』製作委員会

最終更新:5/10(水) 22:00
おたぽる