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「この紙芝居……動くぞ!」現代UMA「グロブスター」が大活躍! 『世界の闇図鑑』第6話「砂に消えた悪夢」レビュー

5/10(水) 23:00配信

おたぽる

 井口昇監督の紙芝居アニメ『世界の闇図鑑』(テレビ東京ほか)。第6話は比較的新しいUMA物件「グロブスター」が登場した。平たく言えば「浜辺に打ち上げられた謎の生き物の死骸(えてして巨大)」のことだが、大体は腐敗したクジラの死骸である。ただその見た目が余りにも異様なので、「未知の生物の死骸では?」「海には我々の知らない生き物がまだまだいるのでは?」とロマンを掻き立てられるわけだ。
 あらすじを紹介しよう。

 ある国のある海岸、若者たちがやって来た。男女カップルとその友人・トムの3人である。

 カップル男「あれは何だ?」
 カップル女「何か打ち上げられてるわ!」

 見たこともない巨大な生物が、異臭を放ちながら砂の上に横たわっていた。全長3メートル、表面がヌルヌルした粘液で覆われている。目玉のようなものはあるが口やエラは見当たらない。
  
 カップル女「これ死んだ魚なの?」
 トム   「警察に届けようよ」
 カップル男「バカ言うなよ、新種の魚だったら写真に撮って雑誌に売り込めるぜ!」
 カップル女「いいわね! 高く売れそう!」

 呑気なカップルは写真を撮り始める。トムは付いていけずに海岸から去ろうとする。しばらく歩くと、さっきまで聞こえていたカップルの声が消えた。振り返ると2人の姿がない。生物に近寄ると、カップル男のカメラが砂に転がっていた。

 ふと顔を上げると、生物の目玉がギロリと自分を睨み付けていた。
 
 トム「こいつ……生きてる!」

 砂に埋まっていた生物が口を開いた。口の中でカップル男が不気味な触手に絡め取られている。その周囲には無数の人骨。カップル女も触手に絞めつけられ食われかけている。
 そして長い触手がトムを捕らえ、彼もまた生物の口に引きずり込まれた!
 
 謎の生物は死んだフリをして獲物をおびき寄せる習性があるらしい……おしまい。

 お話は普通だ。が、本作が面白いのは紙芝居のわりにはやたら絵が動くこと。人物は画面をちょこまかと移動し、生物の口はガバーっと開き、人骨も触手も画面手前に迫る。原理としては紙人形劇と同じでシンプルなものだが、紙芝居だと油断していると「おおっ」と驚きつつうれしくなってしまう。

 イラストは海老原優。第1話と同じ人選だがこれは「一巡した」という理解でよいのだろうか? いずれにせよ、劇画調に描かれた謎の生物のリアルさ気持ち悪さは特筆モノ。お話はともかく絵と動きがひたすらグロくて楽しい、アニメーションの原点に立ち返ったような内容である。

 
 再びのUMA路線、それも最近のネタを採用した第6話。「単なる懐古趣味やベタ路線だけじゃないぞ!」「紙芝居なりに絵を動かすぞ!」という作り手のチャレンジ精神が素晴らしい。こんないい番組がこんな深い時間の放映なんてもったない、というのが本音である。みんなもっと観て!
(文/JUP-ON STUDIO)

最終更新:5/10(水) 23:00
おたぽる