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日本株高値更新の一方で中国株が年初来安値更新、その背景は?

5/11(木) 17:01配信

マネーポストWEB

 日経平均株価は連休明けの5月8日、大きく上昇し、終値は前営業日比2.31%高の1万9895円70銭で引けた。これは2015年12月3日以来の高値である。フランス大統領選で中道系独立候補のマクロン氏が極右国民戦線のルペン女史に大勝したことで、EUの安定が保たれるといった見通しが強まり、欧米機関投資家のリスク許容度が高まった。為替はリスクオンから円安に振れ、日本株は大きく上昇した。

 一方、この日の中国市場は真逆の動きとなった。8日の上海総合指数終値は前週末比で0.79%安の3078.61ポイント。終値ベースでは年初来安値を更新した。昨年12月以降、3100ポイントを割り込むと大型株を中心に底値を拾う動きが広がり、すぐに戻すといった相場が続いてきたが、この日はそういった動きも見られなかった。

 年初来高値を記録したのは4月11日で終値は3288.97ポイントであった。そこから1か月足らずで6.4%下落している。この間、相場は楽観から悲観へと急展開したが、何が原因なのだろうか?

 4月中旬の崩れ始めの時期は当局の投機抑制策の影響が大きかった。年初来高値を形成する段階で雄安新区関連銘柄が急騰し、相場を牽引したが、当局は4月13、14日、事実上急騰銘柄の売買を停止させたことで、投機資金の撤退が進んだ。3月17日以降、各地方都市が相次いで不動産購入制限を強化したこともあり、投資家の間に警戒感が広がった。

 さらに、4月25日、中国共産党中央政治局は国家金融安全維持に関する第40回集団学習会を開催。習近平国家主席は、「金融改革を進め、監督管理を強化する。また、リスクのある点について処置を行い、指導的立場にある幹部の金融業務能力を高める。共産党による金融業務に対する指導を強化する」と発言した。この会議は、中国人民銀行、証券監督管理委員会など金融行政官庁に大きな影響を与えている。

 インターバンク市場金利の動きを見ると、翌日物、1週間物、2週間物など、短期の金利が4月中旬以降、上昇トレンドを形成している。中国人民銀行は資金供給を絞りつつある。

 前回、この連載で書いたように、4月30日に発表された4月の製造業PMIは51.2で、3月と比べ0.6ポイント悪化、本土の市場コンセンサスを0.5ポイント下回った。受注が鈍化しており、原材料価格、工場出荷価格が低下している。需給が緩んできたので、経営者の見通しが弱気になり、生産も鈍化している。

 結局、本土市場は当局のリスク管理強化政策により、下げているということだ。

 もっとも、これは過去の下落の説明である。今後の見通しはそこまで暗くない。

 5月14日から15日にかけて北京において“一帯一路”国際協力サミットフォーラムが開催される。習近平国家主席が開幕式に出席し、首脳による円卓サミット会議を主催する。28カ国の国家元首あるいは政府首脳がその円卓サミット会議に出席する予定である。全体では1200人以上が出席する大会議となるようだ。

 本土の研究者の間では、今回の会議を定期的に開き、APEC、G20のような国際会議にすべきだといった意見も見られる。国際的な覇権構造が変わる話なので会議が成功すれば、相場は一気に楽観に傾く可能性がある。

 足元の動きを見る限り、日本株と中国本土株はほぼ無関係に動いている。日本株は円ドルレート、欧米機関投資家のリスク許容度によって大きく左右され、上海総合指数は政策によって左右される。当面の間、いずれの市場も株価決定構造は変わりそうにない。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。

最終更新:5/11(木) 17:01
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