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ユーベ、当然とさえ思えるCL決勝進出。充実の陣容、際立つディバラの老獪さ【西部の目】

5/11(木) 12:05配信

フットボールチャンネル

 現地時間9日、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)準決勝2ndレグが行われ、アウェイでの1stレグを2-0で制したユベントスが2-1(2試合合計4-1)で勝利した。強豪揃いのCLにあって、今季のユベントスは傑出したパフォーマンスを披露。充実の陣容に加え、若さに似合わぬ老獪さを備えるディバラがチームに違いをもたらしている。(文:西部謙司)

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●捨て身の3バックで臨んだモナコ

 キックオフ時の並びからするとユベントスは3-4-2-1、モナコは3-4-1-2でスタートしている。しかし、ユベントスは5分ほどで4バック(4-4-2)に修正した。

 モナコの基本フォーメーションは4-4-2だ。第1戦ではモナコの4-4-2に対するユベントスは3-4-2-1だった。これがユベントスの基本対応とすると、キックオフ時点ではモナコが4-4-2で来ると予想していた可能性が高い。

 ただ、モナコの先発をみれば容易に3バックと予想がつくはず。モナコはアップ時に先発予定だったディラルが負傷しメンディと入れ替えた。それで少し混乱していたのかもしれない。いずれにせよ、ユベントスはすぐに4バックに修正したので、モナコの3バックは想定内だったに違いない。

 ただ、噛み合わせからすれば3バックのほうが良さそうである。ユベントスが4バックにしたのは、前から守備をするよりもSBを余らせる形での安全策をとったものと思われる。

 第1戦を0-2で落としたモナコは、ボランチの一角でチームの最重要ピースであるファビーニョを外し、ジョアン・モウチーニョを起用。ウイングバックにシジベ、メンディを置き、いつもは右サイドのベルナルド・シルバをトップ下に起用した。最大限攻撃的な布陣といえる。

●試合の流れを変えたディバラの好判断

 序盤はモナコが押し込んだ。ユベントスの4バックに対して、ファルカオ、シルバ、ムバッペの3人でプレス。ユベントスのSBにボールを吐かせると3枚はそのままボール方向へスライドしてハメ込み、モウチーニョもユベントスのボランチをマンマークする。

 モウチーニョが前がかりになるので、3バックの前面のスペースを抑えるのはバカヨコだけになるが、そこはバカヨコの卓越した守備能力に賭ける。これでユベントスのビルドアップを封じ、攻めては左のメンディのクロスボールからチャンスを作っていた。

 流れを変えたのはディバラである。

 ディバラは味方に近づいてパスワークの距離を短くした。10メートル以上のパスワークでハイプレスを外すのは困難だ。厳しくマークされているときにパスの距離が長くなれば、背後の敵と戦わなくてはならないし、パスもブレやすくなる。

 しかし、5メートル前後まで縮めれば、タックルされる前にボールを素早く正確に動かせる。モナコのハイプレスがハマっているとみたディバラは、バカヨコの標的になるのを恐れずに味方に近づいている。この判断が流れを変えた。

 ユベントスはモナコのハイプレスを素早いショートパスで外す。モウチーニョは前がかりでバカヨコも引っ張り出されているからバイタルエリアはガラ空き。ユベントスは次々と決定機を作る。

 33分にモナコのCKを防いでカウンター、しかしそのまま攻めきるのは難しい状況になると、すかさずディバラが中継してタメを作って逆サイドの右へ展開。ここでもディバラの好判断が光る。

 右に出てきたダニエル・アウベスはフリー、狙い定めたクロスボールがファーサイドのゴールエリア角へ飛ぶと、それが大好物のマンジュキッチがヘディングシュートを叩きつける。GKスバシッチが何とか弾いたところをマンジュキッチが押し込んだ。

 その後もユベントスのカウンターからのチャンスが続き、45分にはダニエル・アウベスのボレーシュートが炸裂して2-0。合計4-0として試合を決めた。

●新鋭ムバッペのゴールで一矢報いたモナコ

 ユベントスは54分にディバラをクアドラードに代える余裕の采配。モナコは負傷から復帰したばかりのメンディを諦めてファビーニョを投入、実質的に2バックの4-4-2にして何とか一矢報いるべくファイティングポーズは崩していない。

 CKを短くつないだモナコは、一瞬の隙をついてモウチーニョがゴールライン際に侵入、GKとDFの間のごく狭いスペースへ入れた低いクロスに鋭く反応したムバッペがゴール、意地の1点を返した。

 ムバッペは「アンリ2世」と呼ばれる逸材だが、モナコでプレーしていた同じ年齢のアンリと比べると、ムバッペのほうが上だと思う。加速力とフィニッシュの両面でアンリを上回っている。

 しかし、モナコの反撃もここまで。ユベントスは合計4-1と危なげなく決勝へコマを進めた。

 1ゴール1アシストの活躍だったダニエウ・アウベスは、「バルセロナが自分を放出したのは間違い」と話していたようだが、むしろユベントスへ来たのが正解だったといえる。バルセロナ時代よりも生き生きとプレーしていて存在感を増している。

 今季のユベントスは強い。強豪揃いのCLだが、ファイナル進出は当然と感じるほど充実している。ほぼイタリア代表の守備陣、ハードワーカーとして新境地を拓いたマンジュキッチ、新しいエースとなったイグアイン、セットプレーの名手ピャニッチ……何よりディバラの存在は大きい。試合を的確に読み、個の判断で流れを一変させてしまったのは、若さに似合わぬ老獪さだった。

(文:西部謙司)

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