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将来医療のカギを握る!  「他家再生医療」の期待銘柄はコレ! 

5/11(木) 16:11配信

会社四季報オンライン

 安倍政権はエレクトロニクス分野などに代わる新たな輸出産業として、医療機器や再生医療を挙げている。これは遠い未来のことではなさそうだ。

 日本の産業構造は大転換期を迎えている。東芝の苦境は、エレクトロニクス業界が抱える課題を象徴している。シャープの台湾企業グループ入りに代表されるように、わが国の家電などの国際競争力は低下している。業績好調のソニーの主力事業は、ゲームや映画、中国製スマホ向けの電子部品というありさまだ。

 自動車などのメカトロニクス分野もインド、中国企業などが勢いを増す。新興国の技術力が向上し、コスト競争時代に入れば日本企業の競争力が一段と低下するのは自明だ。すでに、韓国企業ですら新興国の追い上げに四苦八苦している。

 一方、日本はiPS細胞などの研究開発で世界のトップを走っている。実用化では欧米のベンチャー企業の後塵を拝してきたが、製品の承認環境の規制緩和が追い風となり、再生医療大国への道を歩み始めている。

■ 規制緩和を追い風に日本企業の開発が加速

 再生医療分野で世界の注目を浴びているのは、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授のノーベル賞受賞ばかりではない。日本は「再生医療のシリコンバレー」と呼ばれつつある。背景にあるのは、再生医療製品の認可・承認環境のドラスチックな改善だ。

 再生医療推進法、再生医療等安全性確保法、薬事法からの改称となった医薬品医療機器法などの法律の施行により、わが国は再生医療分野の早期承認や安全性の担保が一気に進み、海外からの資金導入なども加速している。再生医療分野で、日本は世界で最も規制緩和の進んだ国となりつつあるのだ。

 現在、国内の再生医療製品はジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(7774)の自家培養表皮「ジェイス」と自家培養軟骨「ジャック」、JCRファーマ(4552)の「テムセル」とテルモ(4543)の「ハートシート」の4つ。なかでも「テムセル」は他人の細胞を利用する再生医療である、他家再生医療製品である。

 自家再生医療は、患者から細胞を採取し加工するというテーラーメイド医療だった。しかし、他家再生医療では大幅なコスト低減が可能になり、再生医療市場を一気に拡大させるインパクトがある。現時点で他家再生医療のコストは自家再生医療の5割程度。

 量産化が可能な他家再生医療分野は、一段のコストダウンも期待される。自家再生医療は自分の細胞や組織を培養するためコストだけでなく時間もかかる。本格的な実用化には他家再生医療への移行が不可欠といえる。

 国内外では他家再生医療の研究開発が一段と加速する。経済産業省は再生医療市場を2020年に1000億円弱、2030年には1兆円の突破を想定している。これらの将来予測には自家と他家の再生医療市場の比率が極めて需要なカギを握っている。

■ 有力企業群が目白押し。事業化の早期実現に期待

 現在、わが国の他家再生医療分野でもアカデミアが先行する。具体的には、京都大学iPS細胞研究所、京都府立医科大学、東海大学などだ。しかし、民間も前述のJCRファーマなどに加えて、サンバイオ(4592)、ヘリオス(4593)、未公開ではあるが広島大学発ベンチャーのツーセルなどの開発が活発化している。 

 また、眼科領域の他家再生医療分野で先行している米国のバイオベンチャーOcata社を買収したアステラス製薬(4503)も開発力をつけており、動向が注目される。自家再生医療で先駆してきたジャパン・ティッシュ・エンジニアリングは、既に再生医療ビジネスで黒字化を達成。同社は得意の自家再生医療の深耕に加えて、親会社である富士フイルムホールディングス(4901)と共同で本格的に他家再生医療分野への参入も目指している。

 再生医療分野がエレクトロニクス製品に代わって新たな輸出産業となるのは容易ではない。しかし、医療ツーリズムなどのインフラ整備が進めば具体化が早まるとの指摘もあり、注目される。

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

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