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東京マザー:仲良し夫婦のはずが。育休明けに生じた、夫婦関係の亀裂

5/11(木) 5:20配信

東京カレンダー

子を産み、子を育て、家を守る。

昔からあるべき女性の姿とされてきた、“良妻賢母”。

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しかしその価値観は、現代においてはもう古い。

結婚して子どもを産んでも、男性と同等に働く女性が増えた今こそ、良妻賢母の定義を見直す時だ。

家庭も、仕事も、子育ても、完璧を目指すことで苦しむ東京マザーたちが模索する、“現代の良妻賢母”とは、果たしてどんな姿だろうか。

育休から復職し、時短勤務がスタートしたレコード会社勤務の佳乃。上司であるゆり子は過酷な現実に立ち向かう佳乃の復職を快く思っていなかった。今回は佳乃の夫である紀之の、妻への想いに迫る。

紀之と佳乃は恋人同士だった時も、結婚してからも、大きなケンカをしたことがなかった。

だから佳乃がこんなに険しい顔ができることも、こんなに低い声を出せることも、紀之はつい最近まで知らなかった。



佳乃はいつも可憐で凛としている。紀之が彼女を初めて見た時からそうだった。

「今度入って来る人、なかなかの美人らしいぞ」

佳乃が転職してくる前、そんな噂を数人から聞いた。

当時、好きだった女性に振られて傷心中だった紀之は、そんな噂に興味がなかった。

だが初めて見た佳乃は透き通るように白い肌と、ふわりと顔を覆う艶のある髪を持ち、横から見た時のおでこから顎までラインも美しかった。

何より、柔らかく落ち着いた佇まいが、より一層彼女を特別に見せた。

その姿に、紀之は雷に打たれたような衝撃を覚えたのだった。

いつも穏やかで、笑みを絶やさない女性

紀之は、どちらかというと派手な女性が好みだった。

気が強くてノリが良く、ハキハキ元気に喋り、遊び慣れて少し生意気なくらいの女性が可愛いと思っていた。

学生の頃から、3~4人の男の中に平気で1人だけいるような、元気な女の子を好きになっていた。

だから、落ち着いておっとりしている佳乃は、本来は恋愛感情がわいてくるような相手ではないはずだった。

傷心だったからか、それとも本能的なものか―。

紀之は初めて彼女を見たその一瞬で、恋に落ちた。

その日以来猛烈にアタックし、仲の良い同期にも協力を仰いで何度かデートを重ね、佳乃と付き合うことに成功した。

忘れもしない、広尾の『イル ブッテロ』でトスカーナ料理を食べた後、タクシーを拾って西麻布の『バー ブロス』へ行った日から正式に付き合い始めた。

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最終更新:5/11(木) 5:20
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