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BOEのカーニー総裁の記者会見-Smooth Brexit

5/12(金) 9:08配信

NRI研究員の時事解説

はじめに

BOEが金融緩和の現状維持を決定した今回のMPCの結果発表は、いわゆる「Super Thursday 」に当たり、声明文と議事要旨とInflation Reportが一度に公表されるとともに、カーニー総裁の記者会見が行われる。このため、Inflation Reportの詳細な分析は別な機会に譲り、本コラムは、景気や物価の見通しとこれに関する議事要旨および記者会見の議論に焦点を当てることとしたい。

景気と物価の見通し

MPCによる実質GDP成長率の見通しは、前回(2月)から大きく変わらず、2017から19年にかけて、+2.0%→+1.6%→+1.7%であったのが+1.9%→+1.7%→+1.8%とされた。

この点に関して議事要旨では、昨年夏以来BOEが予想してきた個人消費ないし住宅投資の減速が次第に顕現化したとの見方を示しつつも、海外経済の成長に支えられた外需の増加と、それに伴う設備投資の回復が英国経済の成長を支えるとの見方を示している。

一方、MPCはCPIインフレ率に関する見通しを前回(2月)からやや大きく改訂した。つまり、前回は、2017年から19 年にかけて+2.4%→+2.8%→+2.5%であったのが、+2.7%→+2.6%→+2.2%とし、足許を引き上げるとともに、先行きを下方修正した。

同じく議事要旨によれば、足許のインフレ率の上方修正の理由は、ポンド安と原油価格の回復が想定以上であったことによる輸入物価の上振れとされている。もっとも、その後は、smoothなEU離脱の下でポンドの下落が収束することに加え、労働市場のタイト化が進む割には賃金上昇が加速しないため、インフレ率も徐々に減速するとの見方を示している。

なお、BOEによるこうした見通しは、日銀やFRBとは異なり、市場による政策金利の予想パスを前提としていることに注意する必要がある。実際、今回のInflation Reportが指摘するように、forward rateから推計される市場の予想は、2019年末の政策金利が0.5%に過ぎないことを意味する。つまり、上記のようなインフレ率の減速は、先行きの利上げによるものではない。

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