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中国人の「スマホ依存」が極限まで進んでいる理由

ダイヤモンド・オンライン 5/12(金) 6:00配信

 中国社会は「スマホありき」が前提となり、大都市ではスマホによる決済が当たり前になっている。スマホがなければ、日常生活にも支障をきたすほどであり、買い物だけでなく、タクシーを捕まえることにも苦労を強いられるのが実情だ。スマホが使えない高齢者や出稼ぎ労働者との「スマホ格差」もますます広がりつつある。なぜ、中国で「スマホ依存」がここまで進んだのか、取材してみた。(ジャーナリスト 中島 恵)

● 中国の都市部は スマホ決算が当たり前

 「現金?そういえば、もうすっかり持ち歩かなくなりましたね。確か、2月の春節のときに1000元(約1万6000円)下ろしたのですが、まだ財布に300元以上も残っていますよ(笑)。レストランでの食事代やコンビニでの買い物はスマホで決済していますので、もう現金は使わないんです。財布から小銭を出すのも面倒ですしね」

 4月下旬、久しぶりに上海を訪れたときのこと、友人の王さん(35歳)は涼しい顔でこう話してくれた。1年ほど前から中国の都市部では至るところで「スマホ決済」が当たり前になってきた。それは私も知っていたが、中国がここまで急速に発展し“脱・現金化社会”に突入するということは、日本人の日常生活からはとても想像できない。

 中国でスマホが爆発的に普及し始めたのは2013年末ごろからで、まだ3年ほどしか経っていない。1000元(約1万6000円)以下の低価格帯のスマホが出てきたことや、高速通信の4Gが使えるようになり、スマホ自体も大型化、魅力的なアプリも続々と出現した。日本のスマホにももちろんアプリはたくさんあるが、日本の場合「遊び」の部分が大きく、生活する上で必要不可欠、というほど重要なアプリは多くない。

 一方、中国のスマホのアプリは日常生活と切っても切り離せないものが多い。タクシー不足の北京や上海でタクシーを呼ぶアプリなどは必需品の一つだが、公共料金などさまざまな支払いも瞬時にできる。それだけではない。行列に並ばなくていい、銀行に行かなくていい、遠くまで買い物に行かなくてもいいなど、とにかく人口が多く、町が広く、店員等のサービス業従事者のレベルがまちまちの中国では、スマホで簡単に手続きが済ませられることは、日本人が想像する以上に便利で、楽で、ストレスの軽減になるのだ。

 中でも中国人が頻繁に活用しているのが、アリペイ、ウィーチャットペイなどの決済用のアプリだ。アリペイは中国の通販大手、アリババが行っている決済サービスで中国語名は支付宝(ジーフーバオ)という。ウィーチャットペイはインターネットサービス大手のテンセントが行っている決済サービスで中国語名は微信支付(ウェイシンジーフー)。16年のスマホ決済額は日本円にして約600兆円といわれるまでに膨らんだ。

 店によって両方とも決済が可能な場合、どちらか片方でしか決済できない場合などがあり、利用者側は両方のアプリを入れていることが多い。このほかにも決済ができるアプリはいくつかあり、町の新聞屋や軽食を売る屋台などでさえ、スマホ決済を導入するほどになった。

● スマホがないと 日常生活に支障をきたす

 ここまでくると、大都市ではもはやスマホ決済ができない店を探すことのほうが難しく、いざその便利さに慣れたら、もうスマホを手放せなくなってしまう。日本人ならば「別にそこまでしてスマホで支払わなくてもいいんじゃない?」と思うかもしれないが、それは私たちがスマホに頼らなくても普通に生活できる国、日本に住んでいるからだ。

 日本であれば、社会インフラが整っているだけでなく、どの小売店に行ってもきちんと現金のお釣り(小銭)が用意されていて、店員の質はほぼ一定、ニセ札を掴まされる心配もまずない。だが、中国はそれらが不便な環境だったからこそ、逆に飛躍的にスマホが発達し、ある面では日本を飛び越えてしまったといえる。

 また、中国人の間に、新しいものにすぐ飛びつく好奇心と、隣人がやっているものは自分もやりたいという意識が強いことも、短期間にここまで「スマホ依存度」を高めた要因の一つだろう。

 スマホがなければ、当然ながら便利なアプリも使用できず、とたんに日常生活に支障をきたす。最近ではビジネスで初対面のときでも名刺交換をせず、スマホのメッセージアプリ、微信(ウィーチャット)で“友だち”になることが慣習化されつつあるので、買い物の支払いだけでなく、家族や友だちとの約束、仕事関係者への業務連絡などもすべてスマホに集約されている。

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最終更新:5/12(金) 6:00

ダイヤモンド・オンライン

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