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25日のOPEC総会に注目、原油価格の"隠れた弱気材料"

5/12(金) 16:21配信

会社四季報オンライン

 半年に1回開催される定例OPEC(石油輸出国機構)総会を5月25日に控えて、原油価格の動きに注目が集まっている。

 前回、昨年11月末の総会でOPECは原油の協調減産を決定した。昨年10月の生産水準を基準に1月から120万バレル減産するという内容だった。

 減産目標は達成できたのか。IEA(国際エネルギー機関)によれば、昨年10月のOPECの生産水準は日量3310万バレルだったが、1~3月は3190万バレルに減少した。減少幅はちょうど120万バレル。サウジアラビア主導の減産ではあるが、全体として減産目標は達成できているようだ。

 一方、原油WTI価格は年初に54ドル/バレルまで上昇した後、5月に入って一時45ドル台に下落するなど軟調に推移している。今回の定例総会で、OPECは3カ月ないし6カ月程度の協調減産延長を決定するのではないかという見方が多い。もしそうなら、それは以下のIEAの試算で示すように、原油相場が高値更新をうかがうくらいの強気材料だと言ってもいいくらいだが、今のところ、原油相場はそれを素直に反映しているとは思えない。

 IEAによれば、OPECの減産延長を前提とすれば、この先、世界の原油需給は大幅な需要超過に転ずる可能性がある。

 IEAは1~3月の世界の原油需給は1月からのOPECの減産で若干ながら需要超過に転じたとしている。1~3月は季節的に原油需要が少ない時期であるため、このままOPECの減産が続けられれば、4~6月以降、原油需給は需要超過となるわけだ(図1参照)。

 世界の原油需給は、2015年に日量平均160万バレルという大幅な供給超過となり、それを反映して16年初めにかけて原油価格は急落した。翌16年は供給超過が40万バレルまで縮小し、価格は下げ止まった。17年1~3月は日量20万バレルの需要超過と需給はほぼ均衡したようだ。

 そして、IEAによる世界の原油需要見通しとOPEC以外の原油生産見通しを前提に、OPECが仮に1~3月の生産水準(3190万バレル)を維持するとすれば、世界の原油需要超過幅は4~6月に100万バレル、7~9月に140万バレル、10~12月に170万バレルと拡大する計算になる。

 こうした強気材料にもかかわらず、実際の原油価格が軟調なのはなぜか。隠れた弱気材料があるとすれば、以下の3点だろう。

 一番の弱気材料は、シェールオイルなどの生産が予想以上のペースで増加している点だ(図2参照)。

 米国の原油生産量は昨年10月7日の週の845万バレルを底に、直近4月28日の週は929万バレルに増加した。約半年で80万バレル増加していることになり、増産ペースは年率換算で160万バレル程度と、かなり速い。

 原油生産量の動きに5カ月程度先行する、原油掘削リグカウント数は、16年5月27日の週の316を底に、直近5月5日の週には703に増加している。このため、原油生産量は、原油価格がたとえ多少軟化したとしても、リグカウント数と原油生産量の関係からみて、この先5カ月間、つまり10月頃まで増加し続けるだろう。リグカウント数がほぼ一本調子で増加していることから考えると、原油生産量も最近半年のペースのまま、すなわち年160万バレル程度の速いペースでの増加が続くとみていいだろう。

 ちなみに、IEAによる北南米(先進国)の原油生産予想は、16年10~12月が1960万バレルで、17年10~12月が2040万バレルとなっている。IEAの予想する北南米原油の増産ペースは年率80万バレル程度だということになり、今のシェールオイルの増産ペースが過小評価されていることになる。

 実際、米国の原油在庫をみると、OPECが減産を始めた1月以降も増加し続け、4月に入りようやく減少に転じたが、在庫水準はなお高水準のままだ(図3参照)。

 IEAの数値が示すように、原油需給が1~3月に需要超過に転じていたとすれば、原油在庫も1月以降、減少して良かったはずだが、実際にはそうならなかった。原油在庫の動きの方が原油需給の実態を示しているとすれば、シェールオイルの生産増加などにより、1月以降も原油市場は供給超過状態が続いていたことになる。

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