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後継者を怖れる経営者と、後継者に未来を託す経営者

5/13(土) 5:10配信

コーチ・エィ

「オイディプス王」の舞台を観る機会がありました。

フロイトの「エディプス・コンプレックス」の語源ともなったギリシャ悲劇です。

劇の冒頭、テバイの王ライオスは、「将来、実の息子オイディプスが、自分を超える実力を持つ」という神の予言を恐れ、その命を奪おうとします。

わたしは舞台を観ながら、ある大手企業でCEOをされていたAさんの言葉を思い出していました。

「CEO時代の後半、私は自分の能力を超える部下の存在が怖かったのだと思います。無意識に、時間をかけて、自分を超えそうな部下を排除していったのかもしれません」

世代交代の裏に潜むものは何か?

大企業での突然の経営者交代劇や、前社長が返り咲くニュースは、よくマスコミなどで取り上げられます。また、後になって歴代の社長交代の評価が問われることも多々あります。

Aさんは、自分の次のCEO、そして会社にプラスになる形で道を譲ることができなかったことを、自ら認めていました。

エグゼクティブコーチの仕事をしていて感じることのひとつに、どんなリーダーも、やがて交代の局面を迎えることを分かりながらも、上手に対処できる人は少ない、ということです。

では、どうしたら、CEOが品位と誇りを保ちながら、自らの地位を次の世代に譲ることができるのでしょうか。その肝は何なのでしょうか。

話しは少しとびますが、私はこの5年、ある大学のバスケットボール部のメンタルコーチをしてきました。

チームが強くなるほど、ヘッドコーチは紅白戦で1軍と2軍が直接戦うことのないよう、1軍対3軍、2軍対4軍などの組み合わせにします。熾烈なスタメン争いは、選手同士のケガにつながることもあるからです。

ですから、それを考慮した上での組み合わせは、ある意味、健全で活性化している状態だからこそできる、とも言えます。

同じようなことは、ビジネスの世界でも起こります。

Pete Hammett 氏は、CCL(Center for Creative Leadership)の35年間にわたる世界中の幹部(エグゼクティブ・リーダー)との仕事を通じて得た見識に基づき、次のように言及しています。(※1)

「多くの人事部長と話してわかったことは、幹部の多くは組織の次世代リーダーの特定や育成にほとんど、あるいは、まったく関与していないことだ。なぜ幹部は後継者育成から遠いところにいるのか、ある人事部長に聞いてみたところ、『わが社の幹部は、後継者育成は自分の葬式プランを立てることよりも嫌なことだ。自分亡き後、家族写真の自分の場所を他の誰かにのっとられるようなものだ』と話してくれた」と。

激しいサバイバル競争を勝ち抜いてきたトップエグゼクティブほどこの傾向は強い。多くのクライアントをとおして、私はそう実感しています。

相手が肉親であろうとも、自分こそが活躍したい、賞賛されたい。

その欲望は、人を向上させもしますが、ギリシャ悲劇が書かれた2500年前から今日まで変わることのない「人の性」とも言えるでしょう。

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最終更新:5/13(土) 5:10
コーチ・エィ

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