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自販機からジュースが2本…持ち帰ったら犯罪になる?

5/13(土) 7:00配信

オトナンサー

 法律の専門家である弁護士が、私たちの暮らしに身近な事象についてわかりやすく解説します。今回のテーマは「2本出てきた缶ジュースを持ち帰ると犯罪になるのか」、取材に応じてくれたのはアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士です。

「小学校低学年の頃、自販機でジュースを買ったら運よく2本出てきて、友だちと大喜びで帰った思い出があります。今になって『もしかして犯罪だったのでは』と思うのですが、実際のところはどうなのでしょうか」

取り出し口でも、営業主の管理下

Q.窃盗罪になる可能性はありますか。

岩沙さん「窃盗罪は、他人が占有(管理)する財物を占有者の意思に反して持ち去ることで成立します。自販機のジュースは営業主が占有(管理)しているものですから、営業主の意思に反する持ち出しであれば、窃盗罪が成立します。2本のうち、料金が支払われたジュースは、料金の対価として営業主から提供されたジュースであり、問題ありません。しかし、料金を支払っていないジュースについては、営業主は当然提供するつもりはありません。取り出し口とはいえ自販機の中にあり、いまだに営業主の管理下にあるジュースを持ち出す行為は、明らかに営業主の意思に反しており、窃盗罪が成立します」

Q.2本出てきたのではなく、前の人の取り忘れの場合はどうなりますか。

岩沙さん「この場合も窃盗罪が成立すると思われます。たとえば、前の人がわずか1分前にジュースを購入し、自販機からわずか10メートルの距離にいるなど、時間的・場所的に接着しているような場合、取り忘れたジュースにはいまだにその人の占有が及んでおり、ジュースを持ち去ると窃盗罪になると思われます。一方、前の人が時間的・場所的に遠く離れてしまった場合は、前の人の占有が及んでいるとは言えません。しかし、その場合でも自販機の中にある以上、営業主の占有下にあると考えるのが自然でしょう。その結果、自販機からの持ち出しは窃盗罪になると思われます」

岩沙さん「もっとも、占有離脱物横領罪と窃盗罪の境界線はとても微妙で、上記のような事例でも、占有離脱物横領罪となる可能性があります。有名な裁判例でも、公衆電話内に忘れられた硬貨や、旅館のトイレに忘れられた財布の持ち出しが窃盗罪になる一方、電車の網棚に置かれた忘れ物の持ち出しが占有離脱物横領罪になったケースもあります」

逮捕される可能性は低いが…

Q.ジュース1本程度でも捕まるのですか。

岩沙さん「今回は相談者の幼少期の思い出話であり、時効が成立していると思われます。そもそも、小学生には責任能力がなく、刑事罰の対象とはなりえないでしょう。ただし、一般論としては、ジュース1本でも捕まる可能性がないとは言い切れません。逮捕される可能性自体はかなり低く、初犯であれば起訴されることは考えにくいですが、自販機荒らしが問題になっている昨今、『たかがジュース1本』と軽く考えるべきではありません。れっきとした犯罪ですので、持ち帰らないように注意しましょう」

オトナンサー編集部

最終更新:5/13(土) 12:46
オトナンサー

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