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なぜ藤浪晋太郎のボールは荒れるのか? 暴れるメカニズムを分析

5/13(土) 8:20配信

webスポルティーバ

 今季、藤浪晋太郎(阪神)のここまでの成績は、4試合に先発して3勝1敗。防御率の1.78は規定投球回数にわずかに足りてないものの、リーグトップの優秀さだ。(成績はすべて5月11日現在のもの)

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 しかし、これらの数字とここまでの投球の印象には、少なからず大きな開きを感じる。前回登板となった5月4日のヤクルト戦は、今年の藤浪を顕著に表していた。

 初回、先頭打者・坂口智隆への初球、146キロのストレートがインコース寄りに決まったときには「今日は大丈夫か」と思わせた。しかし、2球目ボールのあと、3球目は148キロのストレートが大きく外に抜ける。4球目の146キロのストレートがさらに大きく外れると、「今日も……」という空気になった。

 そこからスライダー系のボールを4球続けてファーストゴロに打ち取ったが、ストレートをコントロールしきれず、変化球でなんとか勝負するというのが、今の藤浪の投球だ。

 この日、全125球中、ストレートは74球。そのうちストライクは半数の37球だった(ファウル、スイングを含む)。カウントを確実に取りたい場面は、スライダーとカットボールの選択が目立った。8回途中まで投げ、被安打4、奪三振4、失点1。その一方で、7つの四球を許すなど、この日も制球に苦しんでいる。

 とにかく今季の藤浪は、ストレートのばらつきが目立つ。バランスを重視したフォームは、一目で脱力の意識が伝わってくる。それでも、リリースでのわずかな力加減やタイミングのズレ、さらには心の揺れもあるのか。ボールは右打者の懐付近に抜けるか、引っ掛かって左打者の足もとへ大きく外れるか。特に気になるのが、右打者に対しての抜け球だ。

 昨年まで阪神で投手コーチを務めた山口高志氏にWBC直前、藤浪について話を聞いた。藤浪の好不調の見極め方を聞いた際、山口氏は次のように語っていた。

「たとえば、左バッターのアウトコースのストレートが指にかかって決まる。あるいは、浮き上がるぐらいのときはいい。それが打者から逃げるように、僕らは“吹き抜ける”という表現を使うんですが、その球筋だと今日は難しいなと……。高低がぶれるだけなら、スピードがある分、バッターも手が出やすい。それが打者から逃げていく球は手を出さないですから。そうなると苦しくなる」

 今年はこの“吹き抜ける球”が右打者に対しても出るため、よりばらつきが激しい。今季初登板でヤクルトの畠山和洋に死球をぶつけ、乱闘の原因となったのもこの球だった。

 ただ、藤浪にとって悩みの種でもあるこのボールは、打者にとっても厄介な球になっている。150キロ前後でこれだけボールが荒れれば、打者も恐怖心が芽生え、容易には踏み込めない。結果として、藤浪を助けているのは確かだ。

 バレンティンなどはフェイスガードをつけ打席に立ったが、投球に対してまったく踏み込めず、腰が入らないスイングを続けた。

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