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最新の音響テクノロジーで、魅力ゼロの施設が「人気のコンサートホール」に

5/13(土) 12:30配信

WIRED.jp

サンフランシスコの新しいコンサートホール「サウンドボックス」。もともとは劣悪なリハーサル施設だったが、音を自在にコントロールできる最新の音響システム「Constellation」によって、豊かな音を表現できる場所へと生まれ変わることになった。人気スポットに生まれ変わったサウンドボックスの魅力とは。

人気スポットに生まれ変わったサウンドボックスの魅力とは

サンフランシスコ交響楽団は20年以上にわたり、「デーヴィス・シンフォニーホール」で公演を行ってきた。世界的に有名なオーケストラにふさわしい、2,600席をもつ荘厳な建造物だ。

ところが、いまサンフランシスコで最も人気があるクラシック音楽のスポットは、そのすぐ近くにサンフランシスコ交響楽団が2014年にオープンしたコンサートホール「サウンドボックス」である。実はもともとは、どこから見ても魅力がなく、音響設備もひどい建物だった。それが改修工事を経て、観客を次々に呼び寄せる人気スポットへと生まれ変わったのだ。

嫌われ者の変身

500人収容のサウンドボックスでは、観客は低いオットマンやベンチに座って音楽を楽しむ。席がなければ、立ったままで構わない。会場にはバーがあり、おしゃれなカクテルやキャラメルポップコーンなどの軽食をいつでも購入できる。紙のプログラムがないって? スマートフォンでサウンドボックスのサイトを開けば、プログラムを確認できる。

施設内には複数のスクリーンがあり、ヴィデオアーティストの作品が映し出されている。複数のステージを設けることもでき、2016年の合唱コンサートでは、サンフランシスコ交響楽団の合唱団が観客を囲むような配置で公演した。コンサートの前には、インドネシアのジャワ島の舞踊を見ることができるかもしれない。ガムラン音楽は、オーケストラピット(舞台と客席の間に設けられた演奏場所)のような所で演奏されている。

それも当然、実はそれが本物のオーケストラピットだからだ。サウンドボックスは長年、サンフランシスコ歌劇団、交響楽団、バレエ団のリハーサルに使用されていた。オーケストラ専用のスペースがあるのはそのためだ。しかしそのような歴史があるのに、この建物の音響は決して自慢できるものではなかった。

「はっきり言って、サウンドボックスは嫌われ者の練習場所でした」。サンフランシスコ交響楽団の音楽監督マイケル・ティルソン=トーマスはそう振り返る。「多くの人がここで練習することを嫌がっていました。しかし、メイヤー・サウンド・ラボラトリーズの音響システム『Constellation』のおかげで、心から練習したい、演奏したいと思える空間になりました」。サウンドボックスの公演は、チケット発売から数時間で売り切れてしまうという。

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最終更新:5/13(土) 12:30
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