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インドネシア高速鉄道工期遅れで副大臣「日本に協力要請も」

5/14(日) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 2015年秋、インドネシア高速鉄道の受注を日中で競い合った。日本は、最終盤で逆転され、中国案に決定。手痛い敗北となった。それから1年半。中国による工事は遅れており、当初予定の2019年開業は困難に思える。ノンフィクションライター・水谷竹秀氏がレポートする

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 この高速鉄道事業が遅れていることに対する不信感の表れなのか、現在、インドネシア政府が進める別の鉄道計画は日本に要請するとの憶測も広がっている。

 ジャカルタと第二の都市、スラバヤを結ぶ約730kmの既存の鉄道区間は、時速90kmで約9時間かかる。これを時速160kmまで準高速化し、5時間程度に短縮させるのがその事業計画だ。

 具体的には現在のディーゼル機関車を電化し、約1000ある踏切の整備やカーブを緩やかにするなどで、総事業費は80兆ルピア(約6500億円)と見積もられている。事業可能性調査は5月にも始められ、終了した後に着工する予定だ。工期は2~3年。まだ公式に受注先が発表されたわけではないが、いずれにしても日本が巻き返しを図る可能性が出てきた。

 この事業計画を担当するインドネシア海洋調整省のリドゥワン副大臣は語る。

「半年前から日本政府と協議を進めてきた。協力要請はまだ公式に決まっていないが、可能性は高い。日本側も参入に前向きな姿勢を示している」

 私の取材に応じてくれた副大臣の寛大さには感心したが、この模様がビデオカメラで撮影されているのが気になった。そこで中国の高速鉄道事業に話を振ってみると、

「予定通り進んでいないことに対する懸念はある」

 と繰り返すばかりで、それ以上の具体的な言及はなかった。中国案については他の政府関係者も一様に口が重い。事業主体のインドネシア中国高速鉄道(KCIC)が管轄しているためというのがその理由である。しかし私には、その慎重さがむしろ援助大国・中国に配慮しつつも、日本サイドに期待感を募らせるインドネシア政府の本心を映しているように思えた。

【PROFILE】みずたに・たけひで/1975年三重県桑名市生まれ。上智大学外国語学部卒業。現在フィリピンを拠点にノンフィクションライターとして活動中。2011年『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』で開高健賞受賞。近著に『脱出老人 フィリピン移住に最後の人生を賭ける日本人たち』。

※SAPIO2017年6月号