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友達も無く…「4か月風呂に入らない」生活を送る43歳自虐うつ男のリアル

5/14(日) 9:10配信

週刊SPA!

 些細なことをきっかけにして生活意欲を失い、自身の健康や衛生、人生に対して捨て鉢になってしまうセルフネグレクト。放置すると、ゴミ屋敷から孤独死まで向かってしまうという恐ろしい状態が今、30~40代を中心に広がっているという。週刊SPA!5/16号でも「死を招く自虐うつの正体」と題し、この自暴自棄に陥ってしまう人たちのメカニズムを紹介したが、その取材の中で出会った坂田住太さん(仮名・43歳)も、そんなセルフネグレクト状態に陥ってしまった一人だ。まずは彼の物語から振り返ってみたい。

◆30歳すぎから友人もいなくなった

 銀行員の父親のもと真面目な家庭で育ち、高校は地元の進学校を卒業。東京の大学に進み、彼女もできるなど普通の学生生活を送っていた。しかし、就職活動に失敗したあたりから人生が狂い始める。

「就職せずに職を転々としました。ペンションで住み込み従業員になってみたり、ラブホテルで働いてみたりしたんですが、どれも長続きせずに、次第に“働くことが怖い”と感じるようになって、お酒を大量に摂取するようになったんです」

 30歳をすぎると、当時付き合っていた半同棲中だった彼女にも「出ていけ!」と言われ、「学級委員長だった俺が誘っても、友人は誰も一緒に飲んでくれない」(坂田さん)状況になり、友達もいなくなる中、孤立。気がつけば、引きこもり状態になっていた。

「ある日、お酒を飲んでいたらゲホッと吐血した。ああ、高杉晋作みたいだなあって一瞬かっこよく思えたのを覚えています。心配した家族に引きこもり矯正施設に入れられたこともありました。でも、費用が払えなくなって、1年半で根をあげて強制的に働かせられました」

 就労支援施設と相談しながら、就いたのはカップラーメンのダンボール箱を運ぶ倉庫会社だった。

「本当は50~60代の女性がやる仕事らしいんですが、“こんな楽な仕事があったんだ”と感動して続けることができました」

 月収12万円。親から5万円の仕送りをしてもらいながら充実した日々を送り、彼女もできた。このまま引きこもり生活から脱出できるかと思ったが、そう上手くはいかなかった。このとき、坂田さんは41歳である。

◆4か月風呂に入らないと垢が角化する

「彼女に振られたんです。さらに、倉庫会社の上司が変わって『お前は男のくせに、なんでカップラーメン運んでんだ!』って怒られて。飲料系の段ボールを運ばされることになったんです。これがめっちゃ重いんですよ」

 中卒の上司に怒鳴られるのも坂田さんの自尊心を傷つけた。いろいろなことが重なり、会社を辞めてしまった坂田さん。再び酒量が増え、今も無職生活を続けている。

「親から仕送り11万円をもらっていたので、なんとか生活はできています。でも、仕事を辞めたら楽になるかと思ったんですが、逆でしたね。何もやることがないっていうのは、本当に地獄ですよ。朝も夜もなくなるから、いつ寝てるのかわからなくなるし、寝てても“このままだとホームレス確定だぞ”って脅迫観念からか脂汗をかいて、目が覚める。僕はこれを“寝起き地獄”と呼んでますが、ダラダラした無職生活を送っているので、1日に3回も経験しちゃうんですよね」

 10年前に引きこもり生活を送った経験を持つ坂田さんが昔と違うと感じたのは、スマホの誕生だ。スマホさえあれば、暇も潰せるし、情報も入手でき、エッチな動画も見ることができる。まさに引きこもりの強い味方なのだという。これが彼のセルフネグレクト状態を悪化させていく。

「3日に一度、コンビニに行くだけ。4か月、誰ともまともに会っていません。人に会わなくなると、顔は洗わないし歯も磨かない。この4か月風呂に入っていませんね。こういう生活をしていると、発見することもあるんです。2か月ぐらいから皮膚がポリポリ落ちてきて、部屋に落ちているほこりの9割は皮膚。蛇が脱皮するときってこんな気持ちなんでしょうね。あと、脳内で(ドリフターズの)加トちゃんが『風呂入れよ! 歯磨けよ』って話しかけてくるんですよ」

 肌は赤黒くなり、毛根の脂はたまる一方。気がつけば、5ミリくらいの角が生えていたという。

「これは僕は“鬼化”と呼んでいます。でも、拒食症でガリガリなんですけどね」

 と苦笑いする坂本さん。2日に1回のカップラーメンと、毎日食べるビタミンゼリーが食事。栄養失調寸前にもかかわらず、この生活をやめるつもりはない。

「人と会うのは面倒ですからね。でも、年金暮らしの70歳すぎた両親には申し訳ないとは思っていますよ。仕送りのお金を振り込んでくれるたびに、『北の国から』で純にお金を渡す五郎さんと両親を重ねちゃいますね」

 こうした高齢化した引きこもりは親が亡くなると、一気に孤立化が進む。そして、セルフネグレクトの終着地である孤独死へと向かってしまうのだ。自虐うつとも言える状態の坂本さん。親が生きているうちに抜け出してほしいものだ。

取材・文/伊達一真 撮影/西田 航(WATAROCK)

日刊SPA!

最終更新:5/14(日) 9:10
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