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笑わない、話さない山崎賢人が爆笑を誘う  福田雄一監督が仕掛ける『斉木楠雄のΨ難』の面白さ

5/15(月) 23:13配信

ザテレビジョン

週刊少年ジャンプ連載中の作品で、特異な存在感を放つ麻生周一作の『斉木楠雄のΨ難』。その実写化を託されたのは、『勇者ヨシヒコ』シリーズ、『スーパーサラリーマン左江内氏』、さらには『銀魂』の公開を控える福田雄一監督である。

ピンク髪のカツラには不思議なアクセサリー(超能力制御装置)も付いている

■ 実写化の条件はただ一つ。“主演は山崎賢人”

「ただ、福田監督は『斉木楠雄のΨ難』の実写化にひとつだけ条件を挙げました。それが“主演は山崎賢人”です」(松橋プロデューサー)

「最初に賢人君の情報を僕に教えてくれたのは妻です。『水球ヤンキース』が始まる前でしたね。『斉木楠雄のΨ難』は、『ONE PIECE』一徹だった長男の本棚に全巻並んでいました。1巻から読み進めていくうちに賢人君と斉木楠雄がバーンと合致して」(福田監督)

こうして動き出した、監督:福田雄一×主演:山崎賢人×原作:週刊少年ジャンプによる実写映画『斉木楠雄のΨ難』。監督もプロデューサーも口を揃えて、「今まで見たことがない山崎賢人がいる」と語るその撮影現場を覗いてみることにした。

現場に入っていくと、メイン・キャラクターが全員揃った教室のシーンの演出が始まった。ビビッドな緑色の制服を着た生徒達の中に福田監督が入って、照橋心美役の橋本環奈、燃堂力役の新井浩文、海藤瞬役の吉沢亮、灰呂杵志役の笠原秀幸、窪谷須亜蓮役の賀来賢人、それぞれの横に立って一つひとつの動きを指示していく。

ただ、山崎のそばに来た福田監督の指示は目線の動きだけ。今回、山崎が演じる斉木楠雄にはほとんど大きな動きがないからだ。その分、周りのキャラクターが自由に弾けている。その姿を達観したような眼差しで山崎は見つめているだけなのだが、頭の中はそうではない。周りの自由過ぎる行動にズバズバとツッコミを入れる。その言葉が観る側にダダ漏れしているからこそ、この作品は面白い。テストでも本番でも、事前に山崎が収録した仮のナレーション(ダダ漏れする心の声)が流れていた。おかげで、ただ立っているだけの山崎の姿が面白さを発揮している。

福田監督の現場は、撮影の合間も作品と同じような面白さがある。ほとんどのキャストが福田監督がいる場所に集まって談笑しているからだ。つまり、テスト、本番、談笑の繰り返し。ずっと笑いが絶えない現場というわけだ。撮影中は決して笑わない山崎も、撮影の合間はいつもの無邪気な笑顔に戻っていた。

■ 青と黒と白が混じったこだわりのピンク髪

さて、このコメディ作品をさらに特異なものにしているのが、各キャラクターの外見である。どうしても目立つのは、燃堂を演じる新井の左目の傷、原作で“ケツアゴ”と表現されている割れたアゴ、そして金髪のモヒカンである。

「(新井の髪は)地毛です。新井さんが“地毛でやらないと面白くないから”と」(松橋プロデューサー)

「散髪に立ち会いましたけど、凄く細かいんです。モヒカンの幅や角度が。失敗はできないので監督が一つひとつチェックしながら、半日かそれ以上かかって作ったんですよね」(北島プロデューサー)

そのほかにも、灰呂を演じる笠原のツンツンと立った赤髪、海藤を演じる吉沢の青い髪も目立っている。そして何よりも山崎のピンクの髪は派手である。

「最初は山崎さんも地毛でいきたいという話がありました。でも、髪を染めると落ちるのも早いんです。何回も色を入れるとシーンが合わなくなる可能性があるということで、今回はカツラということになりました」(松橋プロデューサー)

ただ、このピンク色のカツラが山崎によく似合う。鮮やかな緑色の制服を着ても違和感がない。

「緑もピンクもビビッドなので、不安はあったんです。だから、制服の生地選びは凄く慎重になりましたね。ピンクのカツラも工夫しています。実は、青と黒と白が混じってるんですよ。賢人君に何度も被ってもらって、最終的に見つけたのがあの色です」(福田監督)

ピンク髪のカツラには不思議なアクセサリー(超能力制御装置)も付いている。

「先についている淡いピンクの丸い物体をどの程度の大きさにするか。賢人君の顔が小さいので、その大きさを微調整したり、どんなに頭を振っても動かない工夫をしたり」(福田監督)

監督はそう言うが、その日の撮影を見ている限り、山崎が思い切り頭を振るような仕草はない。しかし、そこから生じるギャップに福田監督が作り出す『斉木楠雄のΨ難』の面白さが隠れている。

■ こんな顔した山崎賢人、初めて見た!!

「普段は朴訥なツッコミをする楠雄が、環奈ちゃんが演じる照橋さんの妄想部分だけ崩れるんです。この部分は照橋さんも崩れるから、最初に環奈ちゃんにやってもらいました。彼女は『銀魂』でも一緒だったから、100%顔遊びができると思っていたので。それを見た賢人君は“あ、ここまでやっていいんだな”と認識できたんでしょうね。それからは手間入らず、です。僕が思っている3割増しぐらいでやってくれました」(福田監督)

つまり、山崎が達観した眼差しで冷静に現実の楠雄を演じるほど、妄想部分とのギャップでさらに笑いが生まれる可能性が高いということだ。「“こんな顔してる山崎賢人を初めて見たな”っていうシーンが目白押しです(笑)」(福田監督)。『斉木楠雄のΨ難』は原作と同じように特異な面白さを持ちながら、またひとつ山崎賢人の新たな一面を楽しめる作品になりそうな気配である。

取材・文=あらいかわこうじ

最終更新:5/15(月) 23:13
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