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【終活Q&A】70歳を過ぎて急に「寂しい」と言い出した母。どう接すればいい? [mi-mollet]

5/15(月) 14:00配信

講談社 JOSEISHI.NET

pyonさんからの質問
Q. 70歳を過ぎて急に「寂しい」と言い出した母。どう接したらいいのか悩んでいます。

10年前に父を亡くして以来、母は一人で暮らしています。子供は私と弟が一人で、月に一、二度は会いに行っています。母は結婚してからは仕事をしておらず、父が自営業でいつも家にいたこともあり、自立心が薄くマイペースで、口数も多くありません。そういう母なので、十年以上独り暮らしを続けてきたのは、よくやったと思います。が、七十を過ぎ、「寂しい」と口にするようになりました。もともと友人もおらず外出も嫌いでしたが、だんだん体がきかなくなり、昔ほど孫との交流もなくなってきたからでしょう。しかし、私たちが「~に行ってみたら?」「~をやってみたら?」と言っても、拒否はしないのですが決してやりません。最近は病院や買い物さえ面倒そうです。同じ未亡人でも、友人がいて趣味もあって、という母世代の女性を見ると、「あなたがこういう人生を選んできたから今寂しくなっているのよ」と言いたい気も。一方で、認知症ではないかと思うほどボンヤリしている姿を見ると辛くて、娘の私に何ができるだろうという思いに駆られます。私はどう考えたら、具体的にどう動いたら、後悔しないのでしょうか?(45歳)

特別ゲスト 金子稚子さんの回答
A. まずはお母さまに医師の診察を受けてもらって、科学的情報を得たうえで、できることをなさってはいかがでしょう。

pyonさんも大変だと思いますし、お母さまも大変でいらっしゃると思います。ですが、イギリスのことわざに、「You can take a horse to the water, but you can’t make him drink.」というものがあります。訳しますと、「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を呑ませることはできない」となります。どれだけ馬のことを心配して世話をしても、水を呑むのは馬。心配している人自身ではありません。厳しい言い方になって申し訳ありませんが、このことはpyonさんではなくお母さまの問題であり、引いてはお母さんの人生ということだと私は思います。ですのでpyonさんが働きかけるのには限界がある、そのことを肝に銘じていたほうがいいかもしれません。

ただ、少々心配なのは、認知症ではないかと思うほどボンヤリされている、ということです。実際に初期の認知症かもしれませんし、老人性鬱の可能性も考えられます。お母さまの体調を含めて、きちんと把握されておいたほうが良いでしょう。嫌がられるかもしれませんが、一度お母さまを病院に連れて行き、医師の診察を受けていただいてはいかがでしょうか。これは先のことわざとは違って、pyonさんにできることですから。

実はこういったお悩みは、今の時代、割合多く耳にするのです。症状が進むと、入浴や部屋の片付けといった日常のことすらどうでもよくなる、という状態に陥ることもあり、やがて社会的にも孤立を深めていきます。これを「セルフネグレクト」と言い、今後はこういう方がもっと増えていき、いずれ社会問題化すると心配する専門家もいるほどです。「セルフネグレクト」は、脳の認知機能の衰えが原因のこともありますし、大切な人との死別など何かショックな出来事が引き金となることもあります。周囲との関わりを続けていくことが大切だとして、地域によっては何らかの支援をおこなっているところもありますが、具体的にコレといった解決策はないのが実情なのですよ。ですから家族である自分たちができることとできないことがある、と知っておくことも必要かもしれません。それだけでも腹の据わり具合が違ってくると思いますから。

また「どう動いたら後悔がないでしょうか?」と書かれていらっしゃいましたが、後悔というのはおそらく何を選択しても避けられないものです。もちろん絶対とは言いませんが、そう思っておくぐらいのほうが良いのかなと思いますよ。何より、今はまだ「後悔」のことを心配するのは少々早いかもしれません。それよりもまず病院に行かれて、科学的で客観的な情報を得てください。それによって、打つべき次の手が洗い出されてきますので、その選択をする段階で初めて「後悔しないように」と考えたらいいのではないかと思うのです。

同時にしてほしいのが、お母さまの生き様をしっかり見つめることです。お母さまは過去、何を大切にして生きてこられ、そして今、何を望んでいらっしゃるのでしょう? それはもう、実の娘であっても本当のところは分からない領域。ですから、たとえどのようなことであってもお母さんを人生の先輩として見つめ、そこから、自分の今の在り方についても見つめ直してほしいと思うのです。お母さまの生き様を通して、自分の未来につなげていく。それこそが娘であるpyonさんができる最良のことではないでしょうか。

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