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メトロポリタン美術館の個展が示す、川久保玲氏のカリスマ性

5/15(月) 12:40配信

Wedge

 5月4日からニューヨークのメトロポリタン美術館で川久保玲/コム・デ・ギャルソン展が開催されて、日本でもアメリカでも大きな注目を集めている。

 これにつけられている「Art of the In-Between」(その狭間にある芸術)というタイトルを、キューレーターのアンドリュー・ボルトン氏は、こう説明している。

川久保氏の作品は、

Absence/ Presence(不在と存在)
Fashion/Antifashion(ファッション、アンチファッション)
High/Low(高潔なもの、世俗的なもの)
Then/Now(当時、現在)

 など9つの相対するものの狭間を、象徴して表現しているのだという。

 何やら禅問答のようだが、この展示会を見ればこれが従来のファッションエキジビションではないことがよくわかる。

 メトロポリタン美術館のコスチューム・インスティチュート部門では、これまで多くのデザイナーの作品を展示してきたが、生存するデザイナーの個人展はこれでまだ2回目。1983年に開催されたイブ・サンローラン展以来だという。

 だが今回の「Art of the In-Between」は、これまでに開催されてきた他のファッションデザイナーの作品集とは、まったく違ったイベントに仕上がっているのだ。

既成概念を超えた作品群

 コム・デ・ギャルソンといえば、黒を基調とした直線的なラインが特徴の洋服という80年代初頭のイメージをまだ持っていた著者にとって、この「Art of the In-Between」は衝撃的だった。

 川久保氏はマスコミ取材にめったに応じないことで知られているが、過去の彼女のコメントの中に「多くのデザイナーは、男性が好ましいと思う女性像に基づいてデザインをします。ですから、それとは異なる女性像で服を作るのには勇気がいるのです」という発言がある。それはファッションデザインに対する、彼女の基本的な姿勢を示しているのだろう。

 だがそれにしても、ではこれは一体誰のために、何を目的として作られたのでしょうか、とつっこみたくなる前衛的な作品140点が、エキジビション会場内には並んでいるのだ。

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最終更新:5/15(月) 12:40
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