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【U20】久保建英、頭脳で実力を証明。待たれる年長FWたちの覚醒と守備の改善

5/16(火) 11:24配信

フットボールチャンネル

 まもなく韓国で開幕するU-20W杯に挑むU-20日本代表は、大会前最後の強化試合でU-20ホンジュラス代表と対戦した。結果的には3-2で勝利したものの、攻守にわたって課題は山積み状態。21日の初戦・南アフリカ戦を前に一層の奮起が求められそうだ。(取材・文:元川悦子)

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●スタメンはベストメンバー。しかし現実は…

 5大会ぶりのU-20W杯(韓国)に挑む日本代表の初戦・南アフリカ戦(水原)が21日に迫ってきた。11日から静岡県内で最終調整合宿を行ってきた彼らは15日夜、大一番を視野に入れ、エコパスタジアムでホンジュラスと最後のテストマッチに挑んだ。

「南アフリカ戦のシミュレーション」と位置付けた一戦にのぞむにあたり、内山篤監督は現状のベストメンバーと見られる陣容を送り出した。スタメンはGK小島亨介(早稲田大)、DFに右から初瀬亮(G大阪)、冨安健洋(福岡)、中山雄太(柏)、舩木翔(C大阪)、ボランチに坂井大将(大分)と原輝綺(新潟)、右MF堂安律(G大阪)、左MF三好康児(川崎F)、そして小川航基(磐田)と岩崎悠人(京都)が2トップに入った。

 試合前は史上最年少でU-20代表入りした15歳の久保建英(FC東京U-18)と小川が2トップを組むと目されたが、指揮官はこれまでの経験値を重視して、小川と岩崎のコンビを抜擢。久保はジョーカーとしてベンチに座った。

 開始早々の15分、坂井の左CKに飛び込んだエース・小川がニアサイドでヘディングシュートを叩き込んで先制するなど、日本の入りは悪くなかった。ところが、この日は昨年の最終予選無失点と鉄壁の守備を誇った最終ラインがいとも簡単にやられてしまう。

●ミスがらみの2失点。交代選手の躍動でなんとか逆転

 18分のホンジュラスの同点弾は、日本の左CKのクリアボールを一気につながれ、18番のプエルトの一瞬のスピードを止められず、最終的に20番のアルバレスに中央から決められる形。32分に生まれたホンジュラスの2点目も原がボールを失ったのが発端。そこからパス回しをされた挙句、19番のマルチネスに寄せにいった冨安が奪いきれず。スルーパスを出され、中山もプエルトの背後への飛び出しに反応できずに、アッサリと決められてしまった。

「アジアで無失点と言っても、やられていてもおかしくないシーンはたくさんあった。今回は2失点目もそうだけど、ミスを得点に結びつけられている。これが本大会でなくてよかったし、生かしていくしかない」と中山も神妙な面持ちで語っていた。

 彼や冨安、原といった最終予選で抜群の安定感を見せた守備陣が落ち着きを取り戻さない限り、ホンジュラス以上の身体能力を備えた南アフリカ戦は厳しくなる。短期間での修正が絶対に必要だ。

 前半は1-2とまさかのビハインドで終えた日本だが、後半から原に代えて市丸瑞希(G大阪)を投入。それで流れが変わり、開始早々にラッキーなPKから坂井がゴールを挙げ、再び試合を振り出しに戻す。そして内山監督は後半15分が過ぎたところで5人を交代。久保もようやくピッチに立った。

 チーム最年少アタッカーは出場する否や攻撃にスイッチを入れる。左に回った初瀬とのワンツーを仕掛け、初瀬がゴール前に侵入した堂安にパス。最終予選MVPがシュートを放ち、左CKを獲得した。これを遠藤渓太(横浜FM)が蹴り、中央にフリーで飛び込んだのが長身DF板倉滉(川崎F)。久保を筆頭に交代選手たちが着実に結果を出し、日本は3-2と逆転する。相手が疲労困憊で動けなくなったことも幸いして、そのまま勝利を飾ることができた。

●2人の“ジョーカー”が築くホットラインの可能性

 その後、30分の練習試合がもう1本追加で行われ、久保ら後半出場組が引き続きプレー。15分に追加招集の高木彰人(G大阪)が得点し、1-0で勝利した。21人に滑り込んだFWがゴールしたことも前向きな材料だが、的確な状況判断と緩急をつける動きに長けた久保とタテに仕掛けるスピードを武器とする遠藤の連携が大いに光ったのも特筆すべき点と言える。

「タケが代表呼ばれるようになってからずっと一緒にやってるけど、彼はすぐ『前向け』とみんなに言います。その声かけがあるから自分もより多く前を向いてチャンスを作れたのかな。タケとはワンツーで海外の選手もはがせるし、技術も高いから預けたら必ず前にボールが出てくる。自分でもどんどん仕掛けるし、タテにも抜けてくれるから、ホントにやりやすい」と遠藤も久保とのホットラインに手ごたえをつかんでいた。

 本大会でも彼ら2人が揃ってジョーカー的な使い方をされる場面も出てくるだろう。その可能性を示せたのは、内山監督にとっても収穫に違いない。

 久保自身は30分ゲームの終了間際に市丸からの縦パスに反応。ゴール前に侵入してGKと1対1になり、相手の位置を見ながらオシャレなループシュートを放ったが、わずかに外れて得点には至らなかった。

「決めるつもりだったんで残念です」と本人は悔しさをにじませた。とはいえ、後半途中からの約60分間のプレーを通して、身体能力に長けた相手にまともにぶつかることなく、巧みな身のこなしと戦術眼で応戦していく賢さ、技術の高さを披露。「本番のいいシミュレーションになった」と前向きに話した。

「身体能力の差は感じましたけど、わざわざそれを(自分から)感じなくていいかなと。相手も疲れていたし、ボールを持ったら仕掛けようと思っていた。フィジカル勝負っていうより、自分が先手を取っていれば、ボールを取られることはない」と久保はフィジカル差を状況判断で埋められる確信を得た様子だ。

●待たれる年長FWたちの覚醒。久保の存在が刺激に

 ホンジュラス戦で小川と岩崎の2トップがある程度機能したため、南アフリカ戦は彼らがファーストチョイスになるだろう。その2人とは異なるタイプの久保がジョーカーとして周囲を驚かせるパフォーマンスを見せてくれる期待はより一層、高まってきた。

 小川とは結局、約15分のプレーにとどまり、連携を深めるには至らなかったが、「(タケとやるのは)プラスだと思いますし、(岩崎)悠人とは違ったプレーヤーなので、コンビネーションがやりやすいし、やっていて楽しいのはありますね」と小川も前向きだった。スピードがあり、裏に抜けるプレーを得意とする岩崎と独特なリズム感を持つ久保をターゲットマンの小川がしっかりとコントロールしていけるか否か。そこが南アフリカ戦でゴールを奪う重要ポイントになってきそうだ。

 ホンジュラス相手に守備陣がピリッとしなかったことから、攻撃陣にはこれまで以上の得点力が求められてくる。小川と似た特徴を持つ田川享介(鳥栖)を含めた前線4枚をどのように使い分けるのか。そこは内山監督の手腕の問われるところ。それがうまくいって初めて1次リーグ突破が現実となり、その先が見えてくる。

「やるからには高いところを狙っていきたいっていうのはずっと変わってない。チームというのが日本の特徴だと思うので、チームとしていいところまでいければなというのがあります。個人としてはピッチ内の自分に注目してほしい。できればドリブルとかを見てほしい」と虎視眈々と主役の座をつかもうとしている久保の一挙手一投足は大いに注目される。そして彼に刺激された年長FWたちの覚醒をぜひ見たい。

(取材・文:元川悦子)

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