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ベネズエラ反政府デモで飛び交う「糞便瓶」に込められた意味とは

5/16(火) 9:10配信

HARBOR BUSINESS Online

 ベネズエラのマドゥロ政権下での、経済危機が日に日に深刻化しています。

 先日、ベネズエラ人の知人に、隠し撮りと思われる悲惨な動画を見せてもらいました。

 動画では、少年2名が並んでいます。その前には、いかにも強そうな軍関係者(もしくは警備隊)の大人がいます。

 そして、大人が少年に何度も何度も、殴る、蹴るといった暴行を加えているというものでした。最後は苦痛で耐えきれなくなった少年が嘔吐。暴行は終わりました。

「なぜ少年が暴行を受けているのか」こう尋ねる著者に、「ベネズエラでは、デモに参加し、捕まったらどうなるか分からない。少年だろうが関係ない。もうむちゃくちゃだ」と知人は語りました。

 自らの国で起こっている現状に落胆しているベネズエラ人は数多くいます。

 ベネズエラの現状を知ってほしいという思いからの知人の行動でしたが、我々が想像している以上にベネズエラの治安はひどい状況と見ていいでしょう。

◆食糧がない、医療品が足りない

 まず庶民の日常生活で一番大変なのが食糧難といえます。そんなに厳しい状況なのでしょうか。

 ウォールストリートジャーナルが伝えたところ、社会科学者の全国調査では、昨年、4人に3人のベネズエラ国民が体重が減ったと回答。平均減少幅はなんと約8.6キロにもなるとしています。

 8.6キロも痩せるとなると、あまり多くを食べることができないと想像できます。

 分かりやすい例を挙げれば、スーパーマーケット。我々の感覚からいえば、スーパーマーケットに行けば、モノがぎっしり並んでいるのが日常の光景です。

 いくらポテトチップスが棚から消えたといっても、それ以外のモノはなんでもそろっています。

 しかしベネズエラでは、店を見渡しても、空っぽばかりの棚ばかりだったりします。要は、そもそも食料が少ないわけです。

 日常生活の食料と同様に問題なのが、医療品が足らないという現実。こちらは、生死の問題になってきます。

 医薬品だけでなく、注射器なども足らないとされていますから、いったいどのように治療を施せばいいのかという問題も一部地域で生じています。

◆国民の不満が爆発、反政府デモでは「糞便瓶」が飛び交う

 ベネズエラでは、政府への不満はピークに達し、反政府デモが日常的に行われています。平和的にデモをしようという状況下では既になく、デモは過激化。ここ最近でのデモ関連による死亡者は約40名に及びます。デモが長引けば、この数字はさらに増えるでしょう。

 なお、フォックスニュースによれば、デモ隊はベネズエラでは新たな「兵器」を生み出しました。これは糞便に水を混ぜたものを瓶に入れ、投げつけるというものです。

 その名もプープートフカクテル。

 火炎瓶は英語でMolotov cocktail(モロトフカクテル)といいますが、今回は糞ということで、poopoo(プープー)というウンチの意味の幼児語を混ぜ、poopootov cocktail(プープートフカクテル)という名称がつけられています。

 ただ、政府はこの糞便瓶の使用に対して激怒。フォックスニュースなどが報じたところ、当局のマリエリス・ヴァルデス監察官は、糞便瓶は化学兵器であり、使用は犯罪であり厳しい処罰対象となるとコメントしました。

 糞を投げることは、病気にもつながるとされています。これは特にベネズエラではより深刻な問題となりえます。上記にあるように、エネズエラでは医療品が足らないという現実があるからです。

 ただ、物資も少なくなっており、デモ隊もマドゥロ大統領退陣のためならなんでもするという状況下。「我々にはもう糞便しかない」という強い抗議の意味が込められているのです。

 マドゥロ大統領が退陣するか、もしくは、デモが鎮圧されるまでは、今後も新たな過激「兵器」、もしくはさらなる過激デモが継続するとみていいでしょう。

<文/岡本泰輔>

【岡本泰輔】

マルチリンガル国際評論家、Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。

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