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高齢者 適量の降圧剤でも認知症の悪化招く可能性

5/17(水) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 2015年12月、医療従事者向けに発表された「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」の中に、こんな注意喚起がある。

〈高齢者では代謝低下による最大血中濃度の上昇や排泄低下による半減期の延長から薬物血中濃度が上昇しやすい〉

〈実際の投与に際しては(中略)高齢者では少量(一般成人量の1/3~1/2程度)から開始して、効果と有害事象をチェックしながら増量する心がけが重要である〉

 一般的に副作用が少ないとされる市販薬でも、高齢者には効き過ぎるケースがある。効果の強い処方薬になればそのリスクも大きくなる。だからこそ一律に「成人」ということで薬の処方量をガチガチに固めてしまうことが危険なのだ。

 今春、降圧剤の“過剰服用”でヒヤリとした体験をしたのは、都内在住の永田宏氏(仮名・68歳)だ。

 永田氏が降圧剤の服用を始めたのは約10年前。当時、血圧は上165mmHg、下105mmHgだったが、医師に指示された量の降圧剤を服用し続けた結果、今では上140mmHg、下85mmHgで安定したという。しかし──。

「今年3月のことでした。夕飯後、風呂に入ろうと自宅1階の脱衣所で服を脱いでいたところ、突然意識を失ったのです。転倒して頭を打ったようですが、幸い脱衣所のカーペットの上だったので大事には至りませんでした」

 大学病院で精密検査を受けた結果、担当医から失神の原因は「必要量以上の降圧剤の服用による副作用」の可能性を指摘されたという。

 永田氏が大学病院の医師に1日の服用量を説明したところ、「あなたの年齢では多すぎる。60歳を過ぎれば、肝・腎機能が衰えて薬を分解する力も弱まるのだから、年齢とともに量も制限したほうがいい」と注意されたという。これまで服用量を守ることで安心を得ていた永田氏はひどく驚いたという。高血圧治療の専門家で新潟大学名誉教授の岡田正彦氏が話す。

「降圧剤を服用している60歳以上の中で、薬が効き過ぎている人は非常に多いというのが私の実感です。加齢に伴って血管が硬くなると、全身に血液を巡らせるポンプ役の心臓がいくら動いても血液が脳や腎臓などに届きにくくなります。そこに必要量以上の降圧剤を服用してさらに血圧を下げると、全身に血液が行き渡らなくなり、めまいなどを起こしてしまう」

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