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会って20秒で相手を引き付けるために重要なこと

5/17(水) 9:10配信

HARBOR BUSINESS Online

◆切り出し方で相手を引き付ける

 ビジネススキル向上のための「分解スキル・反復演習」で、参加者からビジネスシーンでの困りごとを挙げていただく。その中で、「相手が、自分の話にのってくれない」という相談が多くなっている。相手とのコミュニケーションのきっかけをどう掴むか、フックをどうかけるかという序盤の引き付け方の問題だ。

 1対1であらたまって話すときにも、電話で相手に話しかける場合でも、オフィスの通路で立ち話する場合でも、あるいは、1対多数の会議や研修で発言する場合でも、切り出し方に迷う人が多くなっている。

 聞いてみると、入社時のマナー研修でメールの書き方を修得したり、その後プレゼンテーション研修を受講したりしたことはあるが、こうした切り出し方を学んだ機会がないようだ。SNSでの切り出し方と、ビジネスシーンでの切り出し方は異なる。それが、職場でのコミュニケーションの難易度を上げている側面もあるかもしれない。

 相手を引き付けるために、コミュニケーションの切り出し方はとても重要だ。切り出し方次第で、引き付け度合が決まるといっても過言ではない。そして、まずは、1対1の対面であらたまって話をする際の切り出し方を身に付けることができれば、その方法を、対面ではなく電話の場合や、1対多数の場合でも展開できるようになる。

◆アイスブレイクよりもBIGPR

 1対1の対面で話す場合に、いきなり本論を話し始めたら、たいていの場合、相手は引く。社外の人に「商品を買ってください」といきなり切り出したら押し売りと間違えられる。社内の人に「書類を出してください」と唐突に言ったら「はあ~~」という反応をされるだろう。

 よくある助言に、息抜きの雑談や、相手をリラックスさせる文字通り堅い気持ちをほぐすためのアイスブレイクを入れるとよいというものがあるが、雑談やアイスブレイクをしたとしても、その後どうするのという質問をいただく。

 20年来演習を実施する中で、ビジネスパーソンのさまざまな実例を参考にさせていただきながら、コミュニケーションを切り出す方法を演習して試してきた。その結果、雑談やアイスブレイクよりもより、効果の高い方法があることがわかってきた。それが、対話の冒頭に「BIGPR」を行うというものだ。

◆BIGPRとは?

 BIGPRとは、Background(背景)のB、Introduction(紹介)のI、Goal(目的)のG、Period(時間)のP、Role(役割)のRである。この要素を、対話の冒頭の2,30秒を使って、さらりと話すというものだ。これだけで、相手を、その後の話に引き付けることができる。相手を掴む方法なのだ。

 具体例を挙げてみよう。山田さんが、取引先の佐藤社長へ、電話で約束した日時で、佐藤社長のオフィスで商談をするという場面だ。

「先日は、お電話でお話しさせていただきありがとうございました。XX会社の山田です。本日は、当社商品のご紹介をさせていただければ幸いです。30分お時間をいただいています。佐藤社長さまには、ご質問などを伺った上で、この商品にご関心があるかどうかご感想をお聞かせいただければ幸いです」

 これをBIGPR(背景、紹介、目的、時間、役割)に当てはめると、次のとおりとなる。

【背景】先日は、お電話でお話させていただきありがとうございました。

【紹介】XX会社の山田です。

【目的】本日は、当社商品のご紹介をさせていただければ幸いです。

【時間】30分お時間をいただいています。

【役割】佐藤社長さまには、ご質問などを伺った上で、この商品にご関心があるかどうかご感想をお聞かせいただければ幸いです。

 より親しい間柄だったり、社内での対話だったりする場合では、より短く、BIGPRの各々の2つの要素を1フレーズで繰り出す、次のような社内での話法例もある。

【背景】急にお願いしてすみません。

【紹介】XX部の山田です。

【目的】XX業務の内容について

【時間】15分お話させてください。

【役割】説明を聞いて、関連業務をお引き受けいただけるかどうか判断ください。

◆スキル修得すれば引き付けられる

 読者の中には、「わざわざこのような丁寧な切り出し方をしなければならないのだろうか」「相手は自分のことも知っているだろうし、アポイントメントを取るときに目的や時間もお伝えしてあるので、あらためて伝える必要がないだろう」と思う人もいるかもしれない。しかし、相手はこちらの名前をうろ覚えだったり、先日約束していても、面談の場では、「何の目的だったかな」「どのくらいの時間のミーティングだったかな」とはっきりと意識していなかったりしている場合が多い。

 その状況のまま、BIGPRを実施しないで話し始めてしまったら、「いったいこの人は何の目的で話しているのだろう」「何分話すつもりなのだろう」ということが曖昧なまま、聞き手は落ち着かないまま、集中力が低い状況でミーティングが進んでしまうことになる。これが、相手を引き付けられない多くのケースでみられる原因なのだ。

 実施している分解スキル・反復演習の年間3,000人の参加者に聞くと、この話法を初めて知ったという人がほとんどだ。これまで実施していなかったならば、なおさら、今からBIGPRを実施すれば、格段に、相手を引き付けることができることになるに違いない。相手を引き付けることができないのは、相手が悪いわけでもない。自分の持って生まれたキャラクターがコミュニケーションに向いていないわけでもない。スキルの修得さえできれば、相手を引き付けることができるように間違いなくなるのだ。

※「BIGPRのスキル」は、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月。ビジネス書ランキング:2016年12月丸善名古屋本店1位、紀伊國屋書店大手町ビル店1位、丸善丸の内本店3位、2017年1月八重洲ブックセンター4位)で、セルフトレーニングできます。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第33回】

<文/山口博>

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。株式会社リブ・コンサルティング 組織開発コンサルティング事業部長。さまざまな企業の人材育成・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、リブ/コンサルティング組織開発コンサルティング事業部長。。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある

※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。

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最終更新:5/17(水) 13:27
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