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「3人に1人」が内定獲得、前倒し就活の内実

東洋経済オンライン 5/17(水) 6:00配信

 3月1日の“採用活動解禁”から2カ月が過ぎた。就職活動の状況を見ると、採用ペースは昨年に比べ、かなり早く進んでいるようだ。

【写真】地方では有力企業が先行して内定出し

■実質内々定の「6月1~2日の面接」を早くも打診

 リクルートキャリアの就職みらい研究所が実施している就職プロセス調査によると、5月1日時点での就職内定率(2018年卒生対象、速報値)は前年同期比より、9.8ポイント増えて34.8%。すでにゴールデンウイーク前までに3人に1人以上が内定を得ていることになる。内訳を見ると、文系は前年同期比10.2ポイント増の31.5%、理系は同8.4ポイント増の41.6%という数字になっている。

 文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の平野恵子主任研究員は、「昨年と比べて1週間から10日程度早く進んでいる」と、足元の就職戦線の状況を見ている。

 昨年は「3月に採用広報活動の解禁、6月に選考活動の解禁」という、経団連が採用に関する指針で定めた採用スケジュールの初年度だったが、6月よりも前に実質的な内定を出す企業が続出した。そのため、よりスケジュールを守った企業が乗り遅れる結果となり、採用担当者からは「もっと早めるべきだった」といった声があがっていた。そうした反省を踏まえ、今年は多くの企業がかなり早めに採用活動を行っており、学生確保に躍起になっている様子がうかがえる。学生の5月時点の高い内定率は、そうした企業側の動きを反映した結果だといえる。

 競争率が高い大手有名企業も、ゴールデンウイーク前までに内々定の案内や、実質的な内々定といわれている「6月1日、2日の面接呼び出し」を、学生に対して行っているという。

北海道61%、中四国56%、九州55%がまだ足りない

 一方、学生にとっては、選考が早く進んでいるため、早々に不採用の結果が送られ、志望企業の“弾不足“に困る学生も出始めている。新たな志望企業を慌てて探す学生がここにきて急増。企業の採用担当者が、ゴールデンウイーク明けに募集の案内メールを就活生向けに送っているが、そのレスポンスがよくなっているという。

 そうはいっても引き続き学生に有利な売り手市場の状況は変わらない。昨年は6月1日時点で半数が内定を得ていたが、今年はさらに多くの学生がその時点で内定を得ることは間違いない。

■地方の有力企業が先行して内定出し

 もうひとつ、特徴的な動きがある。地方での内定出しが早まっているというのだ。「東京に本社がある大手企業が地方で積極的な採用を行っているため、焦りを感じた地元の有力企業が先行して内定を出している」と平野氏は地方の学生を早めに囲い込む動きがあると語る。

 実は地方では、学生を取り切れていない状況が都市圏以上に高い。就職みらい研究所の「就職白書2017」によると、採用計画に対して、採用者数が少なかった未充足企業の割合は、全体で48.3%。関東44.6%、関西43.8%と、全体の値より低い一方、北海道は61.2%、中国四国56.7%、九州55.9%という結果になっている。

 地方では都市部と比べて就職口が少ないといわれているが、それ以上に地元で就労してくれる学生を探している現状がある。地方の採用については、地元で就職したい学生のニーズをとらえる一方、企業側としてもその地方に根付くコア人材を採用できるメリットもある。

 そんな中で今年は、地方学生をターゲットにした採用の取り組みも盛んに行われた。会社説明会のネット配信中継がそのひとつ。東京などで行われる合同企業説明会や会社説明会に参加できない学生のため、ネット環境でどこでも視聴できる会社説明会が多く開催されていた。

 マイナビは3月1日の解禁初日の合同企業説明会を「マイナビWEB就職EXPO」と題して、ネット中継による説明会をメインにしたイベントを開催。「地方の学生さんは、都心に足を運ぶのにコストも時間もかかるし、そもそも情報も少ない。そこでスタートダッシュできるようにすることを目的に開催した」(マイナビHRリサーチ部・栗田卓也部長)。

 それ以外にも、各就職情報会社や地方の商工会議所が主催するUターンやIターンの就職セミナーが、積極的に開催されている。

 ゴールデンウイークまでに3分1が内定を取ったといったが、逆にいえば残り3分の2がまだ内定を得ていない状況ということもいえる。いずれにせよ学生にとっては、この1~2カ月がまさに正念場だ。

宇都宮 徹

最終更新:5/17(水) 10:37

東洋経済オンライン