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韓国人シンガーKが日本の伝統を旅する「ろうそくは『立ち止まって考える時間』を与えてくれるもの」

5/18(木) 18:00配信

BEST TIMES

現代社会では、なかなか実感できないかもしれないですが、人間の暮らしは自然界の一部です。衣食住の営みは自然と寄り添い、自然に抗う知恵によって、支えられてきました。かつて近江の国と呼ばれた滋賀県では、琵琶湖を中心とした自然の循環のなかで、人間が暮らし、様々な歴史や文化が育まれてきました。

和ろうそく屋ごとに使う材料に特徴がある



 今回、Kさんが訪れたのは、豊かな自然と歴史を湛えながら、琵琶湖に注ぎ続ける安曇川下流地域、北側にある今津口近くの老舗、手造り和ろうそく大與(だいよ)です。Kさんと同世代の4代目大西巧さんを訪ねました。

K 現在、一般的に使われている“洋ろうそく”と大西さんが作られている“和ろうそく”との違いとは? 
大西 単純に原料が違います。現在、よく流通している洋ろうそくの多くは、石油を精製した蝋が使われていますが、和ろうそくは自然由来の蝋を使って作っています。ここに和ろうそくと洋ろうそくを用意したので、見てください。
K 触った感触も違いますね。火のつく芯も違いますね。洋ろうそくは糸ですが、和ろうそくは? 
大西 灯芯と言うんですが、和紙にイグサ(藺草)をくるくると螺旋状に巻いたものを使います。
K 軽いですね。
大西 畳で使われるイグサと同じなんですが、太さが違うんです。畳のイグサなどは、苗を狭い間隔で植えて、細く育てるのですが、灯心用のイグサは間隔を空けて植え、太く育てられます。その太いイグサの皮をはいだ中にあるスポンジ状の繊維が巻かれています。

K 柔らかいですね。
大西 だからとてもよく蝋を吸うんです。木製の軸に和紙を巻いて整えた上から、イグサを巻いていきます。
K 和ろうそくというのは、1種類なんですか? 
大西 全国に和ろうそく屋さんが30軒くらいあるんですが、それぞれ、使っている蝋の素材に特徴があります。うちは、櫨(はぜ)という、木の実を使っています。あと、米ぬか、お米を使ったろうそくを作っています。

K あそこにあるのが、櫨ですか? 
大西 はい。12月から2月に収穫したものを、1年から2年くらい寝かします。この実のなかに蝋があるので、いったん蒸したあとにギュッと蝋を絞り出します。
K すべて自然のものなんですね。地球にやさしい。和ろうそくと洋ろうそくとでは、どちらが長く火を灯せるんですか? 
大西 それも蝋の材料、種類によって異なるんです。蝋の堅さ、溶けやすいかどうかが関係するんです。櫨蝋(はぜろう)だと、洋ろうそくとそれほど変わらないです。ただ、米ぬか蝋は長いですね。もう少しつっこむと、燃焼時間と燃焼のクオリティは別物なので燃焼時間というのはあまり気にしていません。

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