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サステナブル・ブランドの作り方 第11回:炎上するCM、しないCM、その違いは? (上)「日本とアメリカの子育てはこんなに違う!?」

5/18(木) 22:33配信

オルタナ

 こんにちは、サステナブルビジネス・プロデューサーの足立です。今回は最近ちょっと話題になっているテレビCMに関連した話題を取り上げたいと思います。(足立 直樹:オルタナ/Sustainable Brands Japan)

 既にご存知の方も多いかと思いますが、とある日本企業のオムツのコマーシャルがSNSで炎上しました。初めての育児に奮闘するママを応援する感動的なCMを意図していたのだと思うのですが、赤ちゃんの世話や家事でてんてこ舞い、すべてを1人でこなすお母さんの姿を見た視聴者からは「ワンオペ育児を推奨するのか!?」と非難轟々なのだそうです。

 実際このCMではお母さんが1人でなんでもしていて、一瞬「もしかして母子家庭?」と思ってしまうほどなのですが、よく見てみると、父親らしき人の後ろ姿も少しだけ登場します。けれどもそのお父さんや周りの人が、お母さんを助けてくれる状況はなぜかまったく出て来ません。

 そして「ママは泣いちゃダメだって思ってた」「ママは強くなきゃダメだって思ってた」という歌詞が流れる中、苦しげな表情のお母さんがポロッと涙を流し、最後に「その時間が、いつか宝物になる」というキャプションが出て終わります。

 子育て経験のない私が見ていても「お母さんは大変だ…」と胸が締めつけられるほどですが、子育てをした女性からは「その頃のことを思い出して辛くなる」とか、「気分が悪くなる」といった感想がSNSに書き込まれています。

 もちろん子育てが大変なのはその通りでしょうし、実際に多くのお母さんがかなりの部分を1人でこなしているのが日本の現実なのかもしれません。しかし、それにしてもお父さんはまったく出て来ないので、「時間が経てば良い思い出になるんだから今は一人で頑張りなさい」と言っているように見えてしまったのでしょうね。

 さて、前置きがとても長くなってしまいましたが、今回取り上げたいのはこの日本企業(A社としましょう)ではなく、競合するアメリカのP&G社、そしてそのオムツのブランドであるパンパースのCMです。こちらの方が前に作られていますから、意図的に対抗したわけではないのは明らかですが、実に対照的なのです。まずは以下の動画をご覧ください。

「パンパース│キミにいちばんのこと│#キミにいちばん」
https://youtu.be/LsugKLnIxWg

 お母さんが歌う優しい子守唄の歌詞にのせて、家族や親戚、そして見知らぬサラリーマンやバスの運転手、さらには道路工事の作業員の方々まで、この小さな赤ちゃんを見守って大切にしてくれることが伝わってきます。
 「こんなのおとぎ話だ」とあなたは思うかもしれませんが、見ているだけで温かな気持ちになってきませんか? そして、こんな社会を一緒に作れたら素敵だと思いませんか?
 「世界でいちばん大切なキミのためなら、いつだって、いちばんのことをしてあげる」という歌詞は、これを歌うお母さんの言葉であると同時に、パンパースの思いでもあるのではないでしょうか? (英語の歌詞は”there is nothing we wouldn’t do”と主語がweになっていて、そのことがよくわかります。なので、本当は日本語のキャプションも「私たちはどんなことだってしてあげる」とした方が良かったかもしれませんね)
 そして私たち視聴者は、パンパースの「私たちはどんなことだってしてあげる」という言葉にグッと来て、共感を感じるのではないでしょうか。

 後日更新する「2つのCMの明暗を分けたものは?」に続きます。

「サステナブル・ブランド ジャパン」より転載

最終更新:5/18(木) 22:33
オルタナ

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