ここから本文です

【U20】久保建英「日本に帰ってきてよかった」。想像以上の成長、15歳で挑むU-20W杯

5/18(木) 10:50配信

フットボールチャンネル

 U-20W杯に挑む日本代表は、17日に開催地・韓国に到着した。初練習を終えた久保建英を取材しながらこれまでの歩みを振り返っていると、成長の速さだけでなく、一歩一歩着実にステップを踏んできたことに気づかされた。(取材・文:舩木渉【水原】)

【動画】久保建英、鮮やかドリブルでゴール演出!相手DFを翻弄する超絶テクを披露

●J3デビューからわずか半年で急成長

 久保建英という青年の成長スピードには、会うたびに驚かされる。

 昨年11月5日、FC東京U-23の一員としてJ3の舞台に初めて立った15歳は、試合後にこう話した。

「ちょっと早かったかなと、(J3は)レベル的にはまだちょっと難しいなというのがあるんですけど、チャンスがあれば追いつけなくてもやれることをやりたいなと思うので、また次に機会があれば頑張りたい」

 それもそのはず。久保の周りには大人の選手たちばかり。ユースの試合とは全く違う体格や経験を持った相手と戦わねばならない。15歳の少年には”早すぎる”場所だったのではないかと感じた。

 久保本人も「相手チームもFC東京U-23の選手も、自分がいままでプレーしていたところと全然違って、パススピードだったり展開だったりが早くて、最初は全然ついていけなくて、自分が思っているよりも速いパスがきてあたふたしてしまった。結構スピードは大切だなと、まだまだ劣っているなと思いました」と、周りとの差を実感していた。

 しかし、それから約半年が経った今年5月3日。久保はJ1のピッチにいた。リーグ戦ではなくYBCルヴァン杯だったものの、初めてFC東京のトップチームの一員として出場機会を与えられた。ユースの選手として体感したギャップをわずかな期間で埋め、日本のトップクラスの選手たちと遜色ないレベルまで一気に力を伸ばしてきた。

 札幌戦では「今日は(自分の力を)出し切れなかった」とは言うが、ドリブル突破や直接フリーキックでゴールに迫った。「あと一歩だった分、本当に悔しい」という言葉からは、J3デビュー戦後の少し自信なさげな様子からは想像できないほどに自信を感じさせた。
 
 途中出場で相手が多少消耗していた状況とはいえ、J1の選手たちと初めて対戦して、しかも15歳で、「決めなきゃいけない試合だった」と感じることができたのは大きな収穫だったはずだ。

●「成長速度は自分のイメージより3倍以上速い」

 J3デビューとなったAC長野パルセイロ戦で、久保が発した言葉の中で強く印象に残っているものがあった。

「経験のひとつとして、高いレベルを経験できたので、ここからどのくらい差があるかというのがわかったので、その差を詰めていけるチャンスだと思っています」

 長野戦で感じた「差」を半年で埋めた。今年4月末に同じ長野と再戦した際にも、「去年と比べて緊張感も減りましたし、明らかにやれているなというのは自分の中でありました。成長はしているんじゃないかなと思っています」と手応えをつかんだ。今季はJ3で毎試合コンスタントにプレーしている。

 札幌戦で「Jリーグというのは本当にレベルの高いところ」と、トップレベルとの「差」も実感した。U-20日本代表の内山篤監督が久保のことを「彼はサッカーで一番難しい、自分が何をできるかというのを一番よくわかっている選手」と評したのも、的確だとうなずかされる。

 かつて所属したバルセロナは世界屈指の育成組織を持つことで知られる。そこからFC東京への移籍が決まった時、誰もが久保の成長スピードの鈍化を心配した。本人ですら「何で戻らないといけないんだろう」と不安に思っていたという。

 スペインからの帰国を余儀なくされた背景には、バルセロナの18歳以下の選手に関する登録違反があった。その処分の対象にはEU圏外出身で、18歳になっていなかった久保も含まれていたため、選手の実力だけではどうにもならない状態で、帰国は「決まっちゃったこと」と割り切るしかなかった。

 それでも日本に戻り、年齢やカテゴリにとらわれず、高いレベルを経験したことで久保自身も成長スピードが落ちていないことを実感している。日本代表として挑むU-20W杯の開催地・韓国に入って初めての練習後にこう語った。

「こっち(日本)に戻ってきて、こっちだと1年単位で本当にカテゴリが変わったり、いろいろな環境が目まぐるしく変わっていくので、向こうでやっているより成長速度は、自分のイメージより2倍、3倍以上速かったかなとは思う。最初のイメージよりも全然成長できているので、帰ってきてよかったなというのは正直思います」

●久保建英は“少年”から“青年”に

 久保がU-20日本代表に招集されたのはW杯本大会が初めてではない。昨年11月のアルゼンチン遠征や、今年に入ってからはドイツ遠征も経験した。常に改善点を探し、見つけ、克服してきた15歳は、これまでと同様に高いレベルを実際に知ることで自信を深めているに違いない。

 U-20W杯は数多くのワールドクラスの選手たちが飛躍のきっかけをつかんできた大会でもある。過去のMVPにはディエゴ・マラドーナやリオネル・メッシ、セルヒオ・アグエロ、ポール・ポグバらが名を連ねる。

 2015年の前回大会ではジョバンニ・シメオネ(現ジェノア)やアンヘル・コレア(現アトレティコ・マドリー)、ブラジル代表のエース格に成長したガブリエル・ジェズス(現マンチェスター・シティ)らが躍動した。

 久保も彼らの後に続けるだろうか。札幌戦を終えて「今の時点で自分は他の同年代の選手より半歩くらい前にはいられているかなというのは思っている。スタートが早いだけじゃなくて、失速せずにこのままどんどん上にいきたい」と語っていた青年は、目前に迫ったW杯に向けて、17日の練習後に決意を述べた。

「最初で最後というか、この年のW杯は一度きり。今までずっと予選を戦ってきて、本大会に呼ばれていない人もいる。そういうのを考えた時に、悪いパフォーマンスは許され難いものなので、まずはしっかり、今日から改めて1試合1試合全力でできるような準備をしていきたい」

 目を見張るスピードで成長してきた久保は、いつの間にか“少年”から“青年”に変わって、よりたくましい姿になっていた。これまでの過程を見てくると、U-20W杯でも我々を驚かせてくれるのではないか。そんな期待が日に日に確信に変わりつつある。

(取材・文:舩木渉【水原】)

フットボールチャンネル

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Yahoo!ニュースからのお知らせ