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混合診療の例外制度開始1年 申し出への承認まだ4件

5/19(金) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 患者の求めに応じて、未承認の薬や医療機器を通常の保険診療と組み合わせて治療に活用できる「患者申し出療養制度」が始まって1年が過ぎた。ただ厚生労働省が治療計画を承認したのは4件のみ。新しい抗がん剤で、有効性や安全性が全く確認されていない使い方で制度の利用を求めてしまう患者もいる。制度を利用しやすい情報提供が課題となっている。
 「自宅に帰りたい」。こんな男性入院患者の思いを知った大阪大病院(大阪府吹田市)の主治医は昨年夏、「患者申し出療養制度を活用し、植え込み型の補助人工心臓の手術を受けませんか」と提案した。
 男性は重症心不全で長期入院中。心臓移植が必要な状態だが、腎機能障害のため移植は受けられない。補助人工心臓は保険適用となっているが、「心臓移植を待機していること」が条件。移植を受けられない男性は対象外だった。
 主治医が提案したのは入浴しやすいなどの利点から、耳の後ろから電源接続用のケーブルを出す方法だ。海外では承認している国もあるが、日本では承認されていない。男性は制度の利用を申し出て、厚労省の専門家会議は今年2月、保険適用の対象外での利用を承認した。

■自己負担が軽減

 約3千万円の治療費は一部が保険適用になったことで、男性の自己負担額は約1千万円減った。男性の申し出を受けて他の患者も制度を使って迅速に利用できるようになり、男性のほか5人の患者が一部保険適用で利用できる予定だ。
 同病院心臓血管外科の澤芳樹教授は「未承認の治療法の適用範囲が広がることで、患者の救済につながる」と評価する。
 この制度はこのように保険適用の条件や保険適用に向けた臨床試験(治験)などの条件に合わない患者が対象だ。日本はこうした保険適用外と保険適用の治療を同時に行う「混合診療」は原則禁止だが、患者負担を軽減するため、例外として昨年4月に始まった。
 これまでも混合診療は「先進医療」として、厚労省が一定の有効性と安全性を認めた治療法で容認していた。今回は先進医療の対象にならない患者に対象を広げた形だ。
 こうした混合診療を受けられる病院は未承認薬ならば全国で100カ所程度だったが、新たな制度では抗がん剤ならば400カ所に増え、身近な病院で治療も受けられるようになった。
 申し出は新規の場合、原則6週間で審査する。ただ承認は大阪大病院の補助人工心臓のほか、東京大病院(東京・文京)の胃がんの腹膜への転移に対する新たな抗がん剤治療など申請のあった4件のみだ。
 同じ条件で治療を受ける患者を加えると、恩恵を受ける患者は140人を超える見込みだが、軽減されるとはいえ、保険適用外の負担が高額なことが壁になっているとみられる。

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最終更新:5/19(金) 7:47
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