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新型アウディ S3 スポーツバックを試乗──スポーティブネスとはプレミアムなのである

5/19(金) 17:01配信

GQ JAPAN

アウディ A3の高性能版、S3を今尾直樹がテストした。2012年のデビュー以来、初のマイナーチェンジを受けた新型は、これまでとは何かが違う!?

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■自動車はパッケージこそが大問題

御殿場から箱根に向かう長尾峠の途中に「しるこや」の看板を出した茶屋がある。筆者は一度だけここで、おしるこを食べたことがある。大きなおもちが入っている田舎風で、前を通るたびにまた食べたいと思うけれど、かなわない。どうやら閉店している。

この茶屋のある場所から霊峰富士がドーンと見える。「美しい國日本 石原慎太郎」、その奥には「天下第一峰」あり、現首相が慕う岸信介の銘がある。鳥居もある。そうかぁ、ここは富士山を拝む、霊的な場だったのだ。

そのような場にナンですけど、アウディ S3はとてもよく似合う。狭くてツイスティな峠を走るのに、S3はピッタンコなのだ。S3のキイをつかの間手にした筆者が長尾峠に向かったのは、ごく自然なことだった。

S3とは、アウディが1996年に発表したフォルクスワーゲン ゴルフのアウディ版、A3の高性能モデルである。ホットハッチの始祖とされるゴルフ GTIよりも高性能なモデル、ゴルフ Rのインゴルシュタット版ということもいえる。吝嗇家の筆者は、同じ中身なのにオシャレな包装紙で包んだだけで高く買わされるなんて……と思うわけだけれど、高くてもオシャレな方がいい、と考える人々は世の中にはたくさん存在する。それこそ筆者には信じられないぐらいに。

だからこそ、A3は瞬く間に成功をおさめ、アウディの主力商品の柱に成長しただけでなく、こんにちのプレミアム・コンパクト、メルセデス・ベンツのAクラスやらBMW 1シリーズやらの隆盛を招くとっかかりをつくった。自動車はもちろん中身も問題だけれど、包装紙こそ中身みたいなところもある。羊羹だったら食べるにあたってオシャレな包装紙はグシャグシャにして捨ててしまったりするわけだけれど、自動車とはいかなる包装紙で包むか、パッケージこそが大問題なのだ。

■新型S3の重要な2点

現行A3は、2012年春のジュネーブ・モーターショーで登場した3代目で、ゴルフ史上でも傑作の呼ばれることになるであろうゴルフVIIとプラットフォームを共有する。現行A3は2代目とほとんど見た目は変わっていないように見えるけれど、内面はMQBと呼ばれるVWグループの横置きエンジン用車台に、アウディは独自の軽量化技術を組み合わせている。後世、これまた傑作と呼ばれることになるのではあるまいか。

日本市場には翌13年秋から導入が始まった現行A3は、のちに4ドア・セダンもA3としては初めて加わっている。ただし、A3というと「スポーツバック」と呼ばれる5ドアを筆者がいまでも思い浮かべるのは、たぶん筆者がA3セダンを持っていないからだ。ま、スポーツバックも持ってませんけど。

話が長くなって恐縮です。で、その3代目A3であるけれど、 これが昨年本国で4年目のマイナーチェンジ、すなわちモデルライフの折り返しとなる改良を受け、本年早々から日本への上陸を開始している。エクステリアではグリルが微妙に大きくなったり、バンバーが立体的になったりしているけれど、ひと目で見分けるポイントは新型A4同様のイナズマ型ヘッドライトである。写真をご覧になれば、筆者の申し上げたいことが伝わると思う。

内装では、TT以降、順次導入されているフルデジタルのメーターが改良点の目玉だ。モノとしてのメーターは液晶画面に変わりつつある。

機能面では、追突防止の自動ブレーキや車間距離と速度を一定に保つ「アダプティブクルーズコントロール」などの安全デバイスが標準装備化された。超高齢化社会のニッポンのみならず、先進諸国において間違いなく、いま最も求められている技術のひとつだ。

ここで紹介するS3 スポーツバックの場合、性能面では2.0TFSIユニット、すなわち2リッター直噴ターボ・エンジンの最高出力が285psから290psにアップし、「Sトロニック」とアウディでは呼ぶデュアル・クラッチ・トランスミッションが従来の6速から7速へと進化した。この2点は重要だ。

というのも同時期にマイナーチェンジを受けたVW ゴルフ Rは280psで6速にとどまっているからだ。S3との価格差はおよそ50万円。いや、私のは290psで7速ですよ、とゴルフR、および従来型S3のオーナーにつぶやく特権が新型S3のオーナーには与えられる。

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最終更新:5/19(金) 18:46
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