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日本の品質を本格的に求め始めた中国人

JBpress 5/19(金) 6:15配信

■ 1.スマイルカーブと日本企業の位置づけ

 産業構造上の上流・中流・下流による収益率の違いを説明する「スマイルカーブ」という概念がある。伊藤元重・東京大学名誉教授による説明を拝借すれば、次のとおりである。

 繊維産業を例にとれば、上流は繊維素材のメーカーが、ハイテクの新繊維や炭素繊維などの開発により高い収益率を確保している。中流で、布を織る、あるいは洋服を縫製する企業は一般的に収益率が低い。下流は、例えばユニクロのような消費者ニーズに合致した商品を販売する企業の収益率は高い。

 IT産業についてみれば、上流はインテルやマイクロソフト、中流は中国、台湾等の加工組立業者、下流はアップルなどが代表的存在である。

 収益率のイメージを描くと以下のように、スマイルの時の口の形のような図になる。

 中流に位置する産業分野は、モジュール化やグローバル化の進展による厳しいコスト引き下げ競争に巻き込まれやすいため、収益率が低下する。

 こうした業務分野による収益率の格差の存在を考慮すれば、収益率の低い中流の生産は外部に委託し、上流の素材の部分、あるいは下流の消費者ニーズに合わせた商品を販売する分野を目指すのが収益最大化のための戦略となる。

 上流で成功するにはその分野で他社に抜きん出た技術力を磨き続けることが重要な要素である。他方、下流で成功するには、製品・ビジネスモデル・ブランドの3つの要素バランスよく兼ね備えていることが必要であると言われる。

 グローバル競争が激化している現状において、上流または下流で成功を勝ち取ることは実際には極めて難しい。

 このような頭の整理に基づいて、グローバル市場における日本企業の位置づけを考えてみると、ごく一部の上流と下流で成功する企業はあるが、大半は中流に属しており、収益が改善しにくい状況に置かれているように見える。

 特に中国・台湾企業というモジュール化によるコストダウンにかけては他の追随を許さない強敵との競争にさらされており、日本企業の置かれている立場は極めて苦しいように見える。

 事実、日本を代表するいくつもの家電メーカーがグローバル競争の中で苦杯をなめさせられたことは記憶に新しい。そう考えると、日本企業の将来は暗澹たるものであるように思えてしまう。

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最終更新:5/19(金) 6:15

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