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「不動のスタメン捕手」不在の時代。投手が配球の主導権を握るチャンス?

Number Web 5/19(金) 11:01配信

 プロ野球・打撃30傑。

 そこに捕手がいない……。

 そう思って探してみたが、セ・リーグで、わずかに中村悠平(ヤクルト)が.270で20位(5月14日現在)にいるだけで、ほかに34位に梅野隆太郎(阪神)、35位に小林誠司(巨人)が顔を出しているが、この2人は規定打席ぎりぎりで、堂々のレギュラーとは言いにくい。

 さらに、パ・リーグに至っては、打撃30傑に捕手が誰も名を連ねておらず、規定打席がクリアできそうな予備軍にしたって、田村龍弘(千葉ロッテ)ただ1人という状態なのは、調べてみて、あらためて驚いたものだ。

 情けない! とか、けしからん! とか、そういう話ではない。

 それが、今のプロ野球の“現況”なのだ。

レギュラーマスクがドーンと居座って……という時代。

 そういう時代なのだろう。

 長くプロ野球を見ている者の当たりまえの感覚として、プロ野球の捕手はチームに1人。誰でも知っているレギュラーマスクがドーンと居座って、後進の追従を許さない。そんな“典型”というものがある。

 「名捕手」という大看板が次々と現われて、チームの黄金時代を陰で支える。

 私の記憶の範囲でいえば、それが野村克也(南海)、森昌彦(巨人)であり、大矢明彦(ヤクルト)、達川光男(広島)であり、伊東勤(西武)、古田敦也(ヤクルト)であり、矢野輝弘(阪神)、谷繁元信(横浜)、阿部慎之助(巨人)なのであろう。

 その時々で強いチームには、必ずといってよいほど、その強さを象徴するようなレギュラーマスクの存在があった。

 しかし、“今”強い楽天、ソフトバンク、阪神、広島にはそうした捕手はいない。わずかに、嶋基宏(楽天)、石原慶幸(広島)がその“匂い”を発し、特に嶋捕手にはぜひそうあってほしいと熱く願うのだが、今季は腰の故障もあって、実情が伴っていないのが残念でならない。

捕手が日替わりになったのはここ数年の特徴。

 複数の捕手が日替わりのように、入れ替わり立ち替わり起用される現象は、ここ数年の特徴的な現象で、これまでのプロ野球史の中では初めてのことではないか。

 しかし、「ふたり捕手」という状況は、これまでも何例もあって、それはそれである意味「名手」として、今でも語り草となっている。

 大エース・鈴木啓示とバッテリーを組んだ有田修三捕手がいた頃の近鉄には、鉄砲肩・梨田昌孝捕手も活躍していたし、江夏豊が剛腕を振るっていた当時の阪神には、その剛速球の捕球音を甲子園の銀傘に轟かせていた「ダンプ辻」こと辻恭彦と、主に村山実、バッキーとバッテリーを組んだ辻佳紀の「ダブル辻」がいた。共に球史に残る名捕手たちであろう。

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最終更新:5/19(金) 11:01

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