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【U20】日本、W杯初戦勝利の鍵は守備。中山・冨安・板倉の3人でアジア予選無失点の鉄壁復活を

5/21(日) 10:31配信

フットボールチャンネル

 U-20日本代表は21日、韓国でU-20W杯の初戦を戦う。この南アフリカ戦の結果が今後の戦い方を決める、重要な一戦だ。勝利の鍵になるのはアジア予選を無失点で終えた堅守の復活。最終ラインを中心に、フィジカルで押してくる相手を跳ね返せれば勝機は見えてくる。(取材・文:元川悦子【水原】)

初戦の相手は南アフリカ 【U-20W杯】グループステージ組み合わせ

●重要な初戦。「ビビらず」勝利を掴めるか

 2007年カナダ大会以来、10年ぶりのU-20W杯参戦となる日本。2017年韓国大会の重要な初戦となる南アフリカ戦が今日21日、17時から水原ワールドカップ競技場でいよいよキックオフされる。「1次リーグ突破」を第一目標に掲げる内山篤監督率いるU-20日本代表にとって、初戦をどう戦うかは極めて重要だ。

 キャプテンの坂井大将(大分)も「まずは南アフリカ戦をしっかりモノにしたい。チャレンジャー精神を持って戦いたい」と強調していた通り、どうやってスムーズに試合にうまく入るかが大きなポイントになる。

 昨年10月のAFC U-19選手権(バーレーン)初戦・イエメン戦でも、彼らは過緊張のあまりガチガチに固まってしまった苦い過去がある。「プレッシャーのあまり縮こまり、視野が狭くなって肩に力が入った選手、ビビってしまう選手がいた。これは日本人の根深い問題」と内山監督も顔を曇らせていた。

 この時は「高さを生かしてセットプレーで点を取るように」と指揮官がハーフタイムに指示し、後半立ち上がり早々に先制。選手たちは平常心を取り戻したが、初舞台となる世界大会で同じ轍を繰り返さないとも限らない。「先制点を取られたら試合を持っていかれるかもしれないので、ホントに意識して入りたい」と守備の要・中山雄太(柏)も今一度、気を引き締めていた。

 日本の先発はGK小島亨介(早稲田大)、DF(右から)初瀬亮(G大阪)、冨安健洋(福岡)、中山、舩木翔(C大阪)、ボランチ・板倉滉(川崎F)、坂井、右MF堂安律(G大阪)、左MF三好康児(川崎F)、FW小川航基(磐田)、岩崎悠人(京都)という顔ぶれが確実視される。

 15日のホンジュラス戦(エコパ)ではボランチに原輝綺(新潟)が入ったが、彼が失点に絡んだこともあって、同試合で途中出場ながらヘディングで1得点を叩き出した板倉が抜擢されることになった。

「南アは3トップがベースだが、GKが取った後に速く蹴ってくる。高さのある(板倉)滉がDFの1つ前のところで競ってくれるとラクになる」と内山監督も言うように、冨安・中山の両センターバックの前に板倉を置くことによって、まずは鉄壁の守備を構築する狙いがある。

●過去の大会では堅守が勝ち上がりの鍵に

 板倉は「南アは個人の強さとスピードがあるし、そこは全然違う。センターバック前のバイタルをつぶさないと簡単にやられてしまうところもあるんで、そこをしっかり抑えたい」と自身の役割を明確にしている様子だった。

 ホンジュラス戦の失点場面を見ても、1点目は個人能力の高さにやられ、2点目は中盤でルーズボールを拾われた挙句、中山の背後に飛び出された。坂井にラストパスが当たって中山の予測が外れ、裏を取られる不運もあったが、世界相手では複数のミスが重なると必ずと言っていいほど失点につながる。そこは肝に銘じなければいけない部分だ。

「ラインコントロールを下げすぎないようにしようと(中山)雄太くんと話しました。映像を見たら相手1トップの選手のターンのスピードがかなりあったんで、引っつきすぎたらやられる。逆に離しすぎたらミドルシュートも打ってくるので、ハッキリしたプレーが大事だと思います。このチームは1次予選、最終予選と無失点で来てますし、チーム全体にコンパクトに守備できるってよさがある。それを出せれば全然戦える」と冨安も語った通り、アジア予選からの無失点継続は南ア戦の最重要テーマと言っていい。

 過去の日本を振り返っても、有能なDFが揃ったチームは上まで勝ち上がっている。GK川島永嗣(現メス)、DFに栗原勇蔵(現横浜FM)、徳永悠平(現FC東京)、ボランチに今野泰幸(現G大阪)を擁した2003年UAE大会のチームはその筆頭だろう。

 最終的に8強入りし、99年ナイジェリア大会の準優勝に次ぐ成績を残したが、守りの安定感が大きな武器になっていた。2005年オランダ大会のチームもGK西川周作(現浦和)、DF水本裕貴(現広島)、増嶋竜也(現仙台)らを軸に守り倒し、1次リーグ未勝利ながら3位で決勝トーナメントに進出した実績がある。

 仮に攻撃陣が点を取れなくても、後ろの固さで零封できれば、勝ち点1以上は確保できる。重要な初戦では特にそのことを頭に刻み込む必要がある。冨安・中山・板倉の長身3人を軸にいい守りができれば、日本は引き締まったゲームを見せられる。ホンジュラス戦後に「これが本番でなくてよかった」と話した中山らの修正能力が問われるところだ。

●エース小川にかかる期待。15歳久保の出番は?

 そのうえで、いかに点を取るかを考えていくべきだろう。堂安が「自分の特徴であるパスやドリブルで相手を翻弄できればいい」と野心をのぞかせたが、アタッカー陣がそれぞれのストロングポイントを出すことで、組織力で劣る相手守備陣を崩せるに違いない。

 20日の韓国対ギニア戦を見ても、序盤こそ相手のフィジカル能力に苦しんでいた韓国だが、イ・スンウ(バルセロナ)の活躍によって最終的に3点をもぎ取っている。日本も小川の高さ、岩崎のスピード、堂安の打開力、三好の強烈な左足シュートと、それぞれの際立った部分が前面に押し出してゴールをこじ開けたいものだ。

 とりわけ、得点の大きな期待がかかるのはエース・小川。前日練習でも流れの中のヘッドやリスタートからの飛び出しなど数多くの得点を挙げていたが、そのままの力を本番で出してくれれば問題ない。「自分が取らないといけないという責任は感じますし、絶対的存在感を出してかないといけない」と強い自覚を口にした。

 この男が柳沢敦(現鹿島トップチームコーチ)、高原直泰(現沖縄SV)、平山相太(現仙台)といった歴代エースFWたちを超えられれば、日本の快進撃は約束される。2020年東京五輪、その後の日本代表にとっても朗報だ。ジュビロ磐田の名波浩監督から受けてきた英才教育の成果を今ここで発揮してほしい。

 彼らFW陣の後ろに控えている15歳の久保建英(FC東京U-18)も十分に流れを変えられる存在だ。「(開催地)韓国のみなさんが少しでも楽しんでもらえるプレーをしたい」とチーム最年少と思えない余裕あるコメントを口にした彼だが、同じバルサ出身下部組織のイ・スンウの大活躍に刺激を受けた部分は少なからずあるだろう。

 試合の流れに関わらず、彼の出番は確実に訪れる。そこで大きなインパクトを残せれば、2戦目以降のスタメン入りの道も開けてくる。そんな久保の一挙手一投足にも注目しながら、初戦の内容ある勝利を強く求めたい。

(取材・文:元川悦子【水原】)

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