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密室で触れ合う彼の手と私の手。「時間よ止まれ」と思わずにはいられなかった瞬間

5/21(日) 5:20配信

東京カレンダー

やみくもに婚活に励むのは、もう終わり。

ある強かな女たちは、婚活の場をワインスクールへ移した。

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スクールに通うほどワインが好きな男は、高い年収を稼ぎ、洗練されたライフスタイルを送っている者が多いはずだ。

ワインの知識を深めながら、虎視眈々と男性を見定める女たち。

果たして、その思惑は実るのだろうか?


婚活のため”表参道ワインアカデミー”へ入学した美咲。

雅彦や研二など、癖の強いクラスメートたちに振り回され、思うように婚活の成果を出せない中、親友の真千子は早々に結婚を決めてしまった。

そんなときに芹那と共にワインスクール主催のブラインドテイスティング大会に出場することになり、ワインバーオーナー・光一と密かな特訓を開始するのだった。

光一の店でブラインドテイスティングの特訓をするようになって以来、美咲のテイスティング技術はめきめきと上達していた。

光一が提案してくれた「ワインを人に例えて覚える」というアイディアは、思いのほか効果があったようだ。

「それじゃあ、このワインはどうでしょう?」

光一が赤ワインの入ったグラスをすっと差し出す。

すぐにカシスのような香りを捉え、美咲ははじめに、赤ワインの品種として代表的なカベルネ・ソーヴィニョンではないかと考えた。

しかしもう一度グラスに鼻を近づけ、首をかしげる。

―違う。これ、ピーマンみたいな香りもする。確か、私の嫌いなピーマンの香りがするから、苦手なあの人に例えて覚えた記憶がある…。

「これは、雅彦さんに例えて覚えたカベルネ・フラン?」

「正解!すごい、美咲さん!本当に覚えがいいんですね」

光一は小さく拍手しながら顔をほころばせ、まるで自分が正解したかのように喜んでいる。

「いえ…光一さんがこれだけ辛抱強く練習に付き合ってくれるからです。本当にありがとうございます」

美咲は照れ笑いしながら礼を言った。

「でもこれだけ一生懸命練習してると、息が詰まりませんか?大丈夫ですか?」

光一に尋ねられ、美咲は否定できなかった。

はじめの頃と比べて成長していることは我ながら実感しているものの、それでも覚えなくてはいけないワインの種類はまだまだある。

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最終更新:5/21(日) 5:20
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