ここから本文です

稀勢の里に勝てば150万円獲得 これが強い向かい風を生む

5/22(月) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 空前の相撲ブームの到来は、5月場所中の毎朝7時45分に売り出される当日券400枚の行方を見ても明らかだ。午前6時には500人の行列ができ、あっという間に売り切れになる。

 国技館内の売店では大関以上の力士名が冠された弁当(税込1150円)が販売されるが、幕下の取組が始まる午後1時過ぎにはすべての弁当の山が消える。

「鶏竜田揚げと揚げ餃子の『白鵬弁当』、牛焼肉に唐揚げの『日馬富士弁当』などがありますが、鶏肉と長ネギの塩和えがメインの『稀勢の里弁当』は他の弁当の倍の数を用意しているのに、真っ先に売り切れていきます」(国技館サービスの担当者)

 そうした人気が、横綱・稀勢の里にとっては重荷となってのしかかった。先場所13日目の日馬富士戦での負傷が完全に癒えていないのは明らかだが、強行出場以外の選択肢はなかった。

 初日に嘉風(小結)、4日目に遠藤(前頭1)に苦杯をなめさせられたことを受けてなお、所属する田子ノ浦部屋の関係者はこんな言い方をしていた。

「横綱(稀勢の里)の左腕は万全とはいえないが、取組に支障はないですよ。初日の黒星も、“立ち合いの変化を警戒するあまり、棒立ちになってしまった”と冷静に敗因を分析できている。ケガをしている左腕側から攻められるのも想定の範囲内です」

 数字にはっきりと出るところでは、懸賞本数がわかりやすい。

 5月場所15日間の総懸賞本数は2015年秋場所の1979本を抜いて過去最高の2219本になる見込みだ。そのうち稀勢の里への個人指定懸賞は608本を数える。新横綱として臨んだ春場所の300本から倍増した。

「個人指定の懸賞は本人が休場した場合、スポンサーの意向で別の一番に移すか、次の場所に回されるかが決まる。それが600本もあると聞けば、責任感の強い稀勢の里はいよいよ休めないと思うはずですよ」(担当記者)

 集中する懸賞は、稀勢の里の5月場所をより厳しいものにした。一つの取組に掛けられる懸賞の上限の目安は50本だが、嘉風に敗れた初日の結びの一番では54本の懸賞が掛けられた。

「懸賞1本で手取りは3万円ですから、嘉風はこの白星だけで162万円の臨時収入を得た。たった一番で三役の月給(169万3000円)に近い実入りがある。上位のガチンコ力士たちは当然、目の色を変えてぶつかっていく。弱点を攻めることにも躊躇はない」(同前)

“稀勢の里に勝てば150万円(懸賞50本)”という状況が、強い向かい風になるのは当然である。

※週刊ポスト2017年6月2日号