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生保はインフラ。だが若い世代はそれすらも享受できていない。出口治明氏、ライフネット生命創業の背景

5/22(月) 17:00配信

BEST TIMES

若者が安心して結婚し、子育てできる社会を作る。そんな思いを胸に、60歳で起業したライフネット生命会長・出口治明氏が作った賢い消費者が納得して選ぶ保険とは? 

ネット・生保のビジネスモデルは缶ビールと一緒

「一緒に生命保険会社をゼロから作りましょう」

 僕が58歳のとき、友人の紹介で出会った谷家衛さん(現あすかアセットマネジメント会長)から、そのように誘われたことがライフネット生命創業のきっかけでした。

 現代は若い世代が貧しい生活を余儀なくされている時代です。非正規労働者やフリーター、ニートが多いことも一因でしょう。20代の世帯の平均所得は300万円台前半です。

 これでは、毎月1万5000円~2万円もの保険料の保険商品では、買おうにも買えないと思います。

 僕は、生命保険は社会的なインフラの一つだと考えていますが、若い世代はそのインフラさえ享受できなくなっているのです。

  だから、保険料を半分にして、若い世代の人でも買えるようにしたい。そうすれば、若者が安心して結婚し、赤ちゃんを産み、育てることができるのではないか。そんな社会を作りたい――。

 これが、60歳で僕がライフネット生命を開業した理由です。

 では、なぜ保険料を半分にできるのか。一番大きな理由は、インターネットを通じて保険を販売しているからです。

 これは、缶ビールのビジネスモデルと一緒です。たとえば、スーパーに行けば缶ビールを200円程度で買えますが、居酒屋でビールを注文すると500円程度かかります。人件費や家賃、光熱費などが上乗せされる分、価格が倍以上になっているのです。

 生命保険に当てはめると、皆さんが払われている保険料は、純保険料(製造原価)と付加保険料(会社の運営経費)の二つから成り立っています。

 日本人の死亡率やガンになる確率は、誰が計算してもほとんど変わりませんから、純保険料はどの保険会社も大きくは変わりません。でも、付加保険料は会社ごとに異なります。

 全国にリアルな店舗を構え、膨大な数の営業職員を抱えれば、その分付加保険料は多くかかります。

 それに対して、ライフネット生命はインターネット上で販売しているため、付加保険料を低く抑えることができます。つまり、缶ビールと居酒屋のビールの関係のように、価格を抑えて保険商品を提供することができるというわけです。

 もちろん、たとえ価格が高くなったとしても、営業職員から話を聞いたうえで加入したいという人は、まったく問題ありません。

 ただ、お金に余裕がないにも関わらず、ご自身であまり深く考えず言われるがままに購入してしまう人が多いのもまた事実です。

「同じような商品を買うなら、調べて比べて、安いほうを選ぶ」というのは、全世界で共通の賢い消費者になる大前提です。

 賢い消費者として、ぜひご自身で比較して、納得して生命保険を選んでほしいと思います。

明日の質問は「Q.21 出口さんは60歳で開業されましたが、起業に対する考え方は?」です。

取材・文/渡邉和彦

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