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「貴族探偵」に相葉雅紀が最適だったワケ[大矢博子 ジャニ読みブックガイド第1回]

5/22(月) 16:07配信

Book Bang

 真実のJust oneを追いかける皆さん、はじめまして。この世には2通りの人間がいます。ジャニーズが好きな人と、ジャニーズが大好きな人です。自担(※1)の出るドラマや映画は漏らさずチェック、写真帯が巻かれた原作本は読まなくてもとりあえず購入……いや待て、そこは読もう。ジャニーズファンだからこそ楽しめる読み方があるんだから。

1)まず、先入観を持たずに小説を読んでみる。
2)ドラマとの違いを探しながら読んでみる。
3)自担がなぜこの役なのかを考えながら読んでみる。
4)脳内ジャニーズ配役で同じジャンルの小説を読んでみる。

 これがジャニ読み。というわけで、40年来のジャニーズファンであり書評家でもある(どっちがメインの属性か自分でもわからない)ワタクシが、僭越ながらジャニーズドラマ原作小説のガイドを、おもにミステリを中心にお送りしようという次第。よろしくおつきあいのほどを。

■嵐・相葉雅紀主演!「貴族探偵」

 第1回はもちろん、相葉雅紀主演で狂喜悶絶爆笑感激放送中の「貴族探偵」(フジテレビ)から、麻耶雄嵩『貴族探偵』『貴族探偵対女探偵』だ。SNSでも指摘されているが、オリジナルからかなり改変されているにもかかわらず、ドラマに対する原作ファンの評価がとても高い。なぜか。原作の最も大事な部分がちゃんとリスペクトされているからである。

 原作の第1作『貴族探偵』は一編ごとに視点人物が変わる短編集。密室殺人やバラバラ死体事件などが起き、関係者や捜査陣が右往左往しているところに〈貴族探偵〉が召使いを従え颯爽と現れる。彼はなぜか警察上層部に影響力を持ち、自分が事件を解決する、と宣言。
 ところが実際に推理を披露するのは〈貴族探偵〉ではなく、執事・メイド・運転手・料理人(ドラマには登場しない)ら召使いたちなのである。「推理なんて雑事は使用人に任せておけばいいんですよ」──というのはドラマ視聴者もご承知の通り。
 女探偵の高徳愛香(四国四県の頭文字だって気づいてた?)が登場するのはシリーズ2作目の『貴族探偵対女探偵』から。偉大な師匠(ドラマとは設定が異なる)から探偵としての薫陶を受けた愛香だったが、彼女の推理はいつも〈貴族探偵〉の召使いによって否定されてしまう──。

 このシリーズの謎解きはとても堅実だ。だが麻耶ミステリの特徴は探偵の造形にある。
 たとえば別シリーズのメルカトル鮎という探偵は傲岸不遜で、絶対に推理を誤らないという設定でありながら事件解決より自分の利益や楽しみを優先したり、実情に合わない推理をしたり。『神様ゲーム』に登場するのは小学生の姿をした神様だ。神様なので推理せずとも真相を知っている。おまけにジュヴナイルなのにトラウマ展開。そして推理をしないのに探偵を名乗る貴族。なんだこのキテレツ設定は。
 これは、探偵とは何か、というミステリの究極のテーマに麻耶雄嵩が挑戦しているからに他ならない。

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最終更新:5/22(月) 19:08
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