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スタバのロゴに「コーヒー」がない理由

5/22(月) 16:12配信

日経BizGate

焦点を絞るほどインパクト

 包括的な品ぞろえ(足し算型)の店と商店を絞った品ぞろえ(引き算型)の店があったとき、どちらの店に魅力を感じるだろうか。AとBの2つの博物館があるとしよう。あなたは、どちらにインパクトを感じるだろうか。また、どちらに行きたいだろうか?

 A 日清食品ミュージアム
 B カップヌードルミュージアム

 A 江崎グリコ博物館
 B ポッキー博物館

 A 食の博物館
 B ラーメン博物館

 A 交通博物館
 B 鉄道博物館

 A 古代生物博物館
 B 恐竜博物館

 Aはどれも、包括的な品ぞろえ(足し算型)である。Bは、Aの一部に焦点を絞った品ぞろえ(引き算型)である。消費者1000人調査の結果、いずれのケースも、圧倒的に多くの人がBに「インパクト」を感じ、Bに「行ってみたい」と回答した。

 この結果から、品ぞろえの引き算によってインパクトが増加すること、インパクトの増加によって、顧客を引きつける力が増加することが分かる。たくさんの商品を紹介するよりも、品ぞろえを引き算することによって、逆にインパクトが高まり、選ばれやすくなるということだ。以下、「品ぞろえの引き算」に成功した事例を見てみよう。

引き算がブランド化のきっかけ

 「コーヒー」と聞いて思い浮かべるブランドは何だろうか? 多くの消費者が、まず思い浮かべるのは、「スターバックス」である。「スターバックス」のように強いブランドを持つ企業から、ブランドづくりの本質を学ぶときにもっとも注目すべきことは何だろうか。それは、スターバックスが「今 、何をしているのか」ではなく、スターバックスが「何をして強いブランドになったのか」だ。

 図は、スターバックスのロゴの変遷を示したものである。開業当時(1971年)のロゴ(一番左)を見てほしい。もし、このロゴを使い続けていたら、ブランド力はここまで強くはならなかったはずだ。なぜだろうか?

 このロゴには、「コーヒー」「ティー」「スパイス」と書いてある。開業当時、スターバックスはコーヒー、紅茶、スパイスを売る店だったということである。

 1987年のロゴから「ティー」「スパイス」の文字が消えている。スターバックスの飛躍のきっかけは、「紅茶」と「スパイス」を引き算し、「コーヒー」に焦点を絞ったことだ。もし、スターバックスが、コーヒー、紅茶、スパイスを総合的に扱う企業であり続けたとしたら、今のような強力なブランドになることはなかっただろう。

 ロゴのデザインそのものも、時代とともにシンプルになっている。現在のロゴがもっともシンプルでパワフルだ。図の左から右へ行くほど、すなわち、シンプルになればなるほど、エネルギーとインパクトを感じるのは、筆者だけではないはずだ。

 ただ、忘れていけないのは、ロゴはシンプルに進化しているが、核はけっして変化していない。軸はブレていないということである。1987年以降、ロゴのダークグリーンのカラーは変わらないし、真ん中のセイレンと呼ばれる妖精は不変だ。スターバックスのように、しっかりした核がなければ、引き算はできないのである。

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最終更新:5/22(月) 16:12
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