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棟方志功-青森から世界へ 「棟方志功展―肉筆画と板画の世界―」

5/22(月) 18:10配信

サライ.jp

取材・文/池田充枝

明治36(1903)年9月5日、青森市で鍛冶職人の家に生まれた棟方志功は、小学校卒業後、家業の手伝いから青森地方裁判所の給仕の職を得て働くかたわらV.ゴッホに惹かれて画家を志し、独学で油絵を描きました。

画家への思いが募って大正13(1924)年、21歳で上京。5年目にして帝展で油絵が初入選します。しかし、そのころ川上澄生の版画を見て感激した棟方は、平塚運一に木版を学び版画に邁進するようになります。

以後は国画会会員となって出品を続け、昭和11(1936)年に出品した「大和し美(うるわ)し」が柳宗悦に注目され、河井寛次郎や濱田庄司と知り合い、彼らの民藝運動に参加。日本回帰を主張する文芸評論家の保田與重郎との交流もあって、棟方は日本的情感、東洋的美に開眼し、民話や神話を題材にした独自の境地をひらきました。
太平洋戦争後の昭和31(1956)年、ヴェネツィア・ビエンナーレで日本人として初めての国際版画大賞を受賞。ほかにも多くの国際展で受賞を重ね、「世界のムナカタ」と呼ばれるようになりました。昭和45(1970)年、文化勲章受章。

人間本来の素朴な情念、原始の呪術性、宗教性、宇宙観を鋭い刀さばきでダイナミックに板に刻んだ棟方は、自らの木版画を「板画(ばんが)」と称しました。昭和50(1975)年9月13日没。代表作に「釈迦十大弟子」「天地乾坤韻」「湧然する女者達々」「柳緑花紅頌」など。

棟方志功の板画作品や肉筆画が一堂に会する展覧会が開かれています。

本展は、パラミタミュージアムが所蔵する棟方志功の板画作品・襖や建具に描かれた室内肉筆装飾画など59点を展示し、棟方芸術の多用な作品世界を一望します。

本展の見どころを、パラミタミュージアムの学芸部長、湯浅英雄さんにうかがいました。

「棟方志功は版画家として名を馳せたことはもちろんですが、その奔放な筆遣いで、肉筆画にも多くの優れた作品を残しています。今回の展示では京都の個人宅の建具類に描かれた肉筆画群を始め、親交の深かった家族の子供たちのために棟方が贈ったほほえましい「お雛さま」や「金太郎」の絵など、棟方の温かい人間性を感じさせる作品が展示されます。

また、棟方はゴッホに傾倒して画家をめざしたと言われるように、初期には油彩画作品を公募展に出品していました。そして版画家として活躍するようになってからも、棟方は生涯にわたって版画と並行して油彩画を描き続けていました。棟方の油彩画はほとんど知られていませんが、大胆なタッチで原色を画面上に置いていく手法はまさにゴッホの作品を彷彿とさせます。今回の自画像を含む油彩画と愛用の画材をあわせて展示し、棟方の知られざる一面を紹介します。

版画作品としては、棟方が一躍世界に名を知られるようになった代表作「二菩薩釈迦十大弟子図屏風」が展示されます。ところがこの中の二菩薩は、その版木だけが東京空襲で焼失し、戦後に菩薩のみが改刻されたという経緯があるのです。今回は改刻前と改刻後の作品を同時に展示し、二つの菩薩図の変化をご覧いただきます」

世界のムナカタの気迫あふれる作品を、ぜひ会場でご堪能ください。

【棟方志功展―肉筆画と板画の世界―】
会期:2017年5月18日(木)~7月9日(日)
会場:パラミタミュージアム 第4室、第5室
住所:三重県三重郡菰野町大羽根園松ヶ枝町21-6
電話番号:059・391・1088
開館時間:9時30分から17時30分まで(入館は17時まで)
休館日:会期中無休
料金:大人1000円(4枚セット券3000円)大学生800円、高校生500円 中学生以下無料、障がい者手帳所持者は無料
アクセス:近鉄名古屋線四日市駅より近鉄湯の山線に乗り換え大羽根園駅下車西へ300m

取材・文/池田充枝

最終更新:5/22(月) 18:10
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